9月議会代表質疑議会報告
不十分な大気汚染予測結果で大型道路を建設するな
9月議会本会議で、大型道路建設に関わる、大気汚染の影響について質問しました。大気汚染物質の影響を測定する環境影響評価では、「プルーム・パフ式」という予測法が使われています。
この方法は、SPM(浮遊粒子状物質)やNOx(窒素酸化物)などの汚染物質が、一様に流れると仮定しているため、大気予測は、不正確に算出されます。市の見解を質しました。
プルーム・パフ式は 不正確
5月30日に行われた都市整備特別委員会で、理事者からは、プルーム・パフ式について、「ある特定の条件だけに限っては、解析的に解ける」と説明されました。
プルーム・パフ式は、気象条件や大気状態が安定している時にしか、計算できない、という弱点を持っています。
この点を確証を持った物にするため、7月に国土交通省を訪れ、直接、大気環境測定の専門官に解説を聞きました。
国土交通省は、プルーム・パフ式について、
● 平らな土地で、風向き・風速など、気象条件が全く変化しない時にのみ、適用する。
● 気象条件が変化する状態では、何らかの他のシミュレーション的な手法が必要である。
という、見解を示しました。
また、プルーム・パフ式の課題として、
● 不安定な大気状態では、汚染物質の上下の動きは、プルーム・パフ式では、表す事ができない。
● 都市のように地面の粗さの大きい地域では、その差を無視できない。
との指摘もありました。
実際の道路建設予定地の地形は、平坦ではなく、起伏に富んでおり、大気状態も一定ではありません。
風が吹き、風向き・風速も不均一で、地形により、複雑な流れをします。
雨が降ったり風が吹いたり、湿度、温度も変化し、様々な気象条件に変化し、不安定な大気状態です。
国交省の説明により、プルーム・パフ式の弱点が、いよいよ明らかになりました。
市は旧来の手法に固執の姿勢崩さず
これまで福山市は、プルーム・パフ式は、「『十分に検証されている』としてこの手法を採用している」、との答弁を繰り返してきました。
実態を正確に予測できない手法は、用いるべきではありません。
ましてや、不正確な予測手法で算出した、環境影響評価結果をもとに、「道路建設によっても大気環境は、基準値以下に収まる」として、事業推進を強行することは、許されません。
9月議会本会議で、この事を指摘し、環境影響結果を撤回し、他の方法で、再評価するよう求めました。
これに対し、「環境影響評価法や省令等に基づいており、適切な評価である」「大気状態等は、省令等に定められた手法で適切に把握している」と、旧来の見解を繰り返す答弁でした。
「道路の近くは複雑な気象条件」との認識示す
また、道路建設予定地の、風速や風向きなど、大気状態や気象条件は、一定の状態なのか、不安定な状態なのかを、質したところ、「大気の状況について、道路近傍の大気の濃度は、交通あるいは、気象などの影響を受け、複雑に変化していると考える」との認識を示しました。 プルーム・パフ式は、一定の、変化しない大気状態しか計算できない事は、国交省も認めるところですが、この答弁は、今後の運動に活かされます。
大型道路が建設されると静かな田園地帯の町が消滅します=瀬戸町山北地区の道路建設予定地