介護の休廃止63件 厳しい介護現場
23年度の介護保険事業所の休・廃止件数は全体で63件にも上っており、人手不足などによって事業が安定しない厳しい現場の状況が浮き彫りとなっています。
重要な訪問介護、廃止増は深刻
特に訪問介護事業所は7件も廃止となっていたことが判りました。近年では休廃止件数が多い状況が続いており、深刻化しています。
訪問介護は、自宅で生活している高齢者に適切な介護サービスを提供している事業であり、地域福祉において欠かせない介護です。
しかし、移動時間が報酬に含まれないなどの制度上の矛盾点があり、ガソリン代の高騰などの影響により、全国での休廃止件数は5年間で8648件、県内でも216件と深刻です。
みよし剛史市議は、地域ごとに訪問介護サービスが不足していないか調査し、市として独自の事業継続支援を行うよう求めました。
(広島県の取りまとめ資料から)
福山市は2019年度からマイナンバーカードの取得支援を強力に取り組んできました。
市役所だけでなく、民間の事業所へも出張して手続きの支援を行ったり、福山市独自のマイナポイントの交付も行い、関連する事業にかかった費用は5年間で総額20億円も使われていたことが明らかになりました。
福山市の交付状況は23年度末時点で約77%、約35万人が持っていますが、1枚当たり6000円弱程度の費用をかけたことになります。
国の交付金も充てていますが、財源は全て税金です。
書かない窓口の利用はわずか2.8%
マイナンバーカードを市役所の書かない窓口システムで使うことで、窓口での待ち時間の削減などの効果が見込まれると市は説明しますが、利用率は16種類の手続きでわずか2.8%に止まっていることが判りました。
多額の費用を投じながら、ほとんど市民の利便性向上の効果はありません。
強引なデジタル化による効率化ではなく、市民本位のあたたかい窓口業務へと考え直すべきです。
(福山市HPより)
財政は大幅黒字 親身な納税相談を
2023年度の決算委員会が10月2日から10月25日にかけて行われました。
一般会計の歳入では、個人市民税や固定資産税の増収などにより、税収は約9億4000万円増え、収支は約48億円の黒字です。
税収は増えているものの、市民生活や地域経済は厳しい状況が続いています。
しかし、市は税の滞納整理のため、滞納者の財産調査を年間16万件以上行い、差し押さえが2500件行われていました。
機械的な滞納処分ではなく、暮らしの状況を把握し、丁寧な納税相談の取組こそ強化すべきです。
暮らし優先の施策に 積極的な財政活用を
市は物価高やコロナ対策に、ため込み金である財政調整基金を活用しましたが、国からの臨時交付金が交付されたため、基金は約20億円も増加し、総額で215億円となりました。
市の借金である市債は、大型のゴミ処理施設建設工事などのために約268億円借り入れ、借金の総額はは約1541億円です。
大型公共事業に多額の税金が使われていますが、暮らしや営業への支援はまだ不十分であり、多額のため込みがあるのであれば、当面する市民生活の支援のため、積極的に活用すべきです。
議第130号 令和5年度福山市一般会計歳入歳出決算認定について討論を行います。
本会計歳入総額は2295億5051万2000円、歳出総額は2221億2935万6000円で、歳入歳出差引き額74億2115万6000円で翌年度繰り越すべき財源26億723万1000円を差し引いた実質収支は48億1392万5000円となりました。
歳入における税収では、給与所得の増により個人市民税の増や、家屋の新増築等に伴う固定資産税の増などにより、全体では9億4059万6000円増となる一方、滞納者の財産調査を年間16万件以上行い、差し押さえが2500件行われています。機械的な滞納処分ではなく、市民との対話による納税相談の取組こそ強化すべきです。
地方消費税交付金は114億6749万1000円交付されており、歳入総額の5.0%を占めています。交付された地方消費税の一部は社会保障関係費に充てられていますが、所得の低い人ほど負担が重い消費税に依存する財政の在り方は問題です。
市債は清掃施設整備事業債の増などによって前年度比52億4290万円増の268億3640万円となり、当年度末の市債現在高は108億4507万6000円増加し、1541億8312万7000円、市民1人当たりの市債現在高は約2万6000円増の約33万8000円となりました。大型公共事業による市民の将来負担の増加と財政の硬直化が懸念されます。
財政調整基金は3億円取り崩し、23億7727万5000円を積立てた結果、当年度末残高は215億9228万7000円となりました。本市の標準財政規模に対する財政調整基金の割合はすでに19.5%であり、さらに積み増せばあまりに過大な水準となります。市民の暮らしや営業を支える独自施策の財源として積極的に活用すべきです。
総務費では、マイナンバーカードの普及促進に5年間で総額20億円以上費やし、交付率は76.9%となりましたが、書かない窓口システムの利用率は16業務でわずか2.8%です。利用者や行政への効果も限定的であり、費用対効果はほとんど見込めません。今後もマイナンバーカード関連のシステム構築や利用率向上に多額の税金が使われる可能性は否定できず、行政サービスの強引なデジタル化は見直すべきです。
民生費では、豪雨によって床下浸水の被害に遭った住民に対する災害見舞金が支給されていません。土砂の流入を支給の要件としていますが、床下が浸水すれば土砂が流入することは当然であり、浸水が土砂流入の事実相当にあたることは疑うまでもなく、また制度改正時における議会答弁でも事実上の床下浸水への見舞金であることは認めています。全ての床下浸水被害に見舞金を支給すべきです。
DV問題等に対応する女性相談支援員の欠員が出たことにより相談支援件数が大きく減少しています。専門性の高い相談業務であるにもかかわらず、わずか3名という脆弱な体制による過密な業務が支援に穴をあけてしまったことの根本問題であり、女性支援相談員の低賃金問題を放置していることは今後の事業継続にもリスクを負わせています。直ちに体制の充実と処遇の改善を行うべきです。
衛生費では、市内河川2地点でPFOA/PFOSの含有量を測定していますが、市民の安全を守るためにも対象範囲を広げて測定すべきです。
労働費では、奨学金を返済支援する企業への補助制度の利用が低調であり、支援制度の新規創設する企業のみを対象に止めるのではなく、県の制度と同様に採用3年目までの従業員に支払った手当を対象とするよう改めるべきです。
農林水産業費では、地産地消を推進し、食料の安定供給と食料自給率の向上を図るためにも、学校給食への市内農産物の活用を抜本的に向上させ、市内農業者の大部分を占める小規模農業者、兼業農家への事業継続支援を行うべきです。
土木費では、がけ地に近接する住宅の移転に係る補助金が約30年振りに1件適用となりましたが、さらに制度の有効活用に向けた周知を行うべきです。
教育費では、フリースクールかがやきにおいて281人の児童生徒の受け入れとともに、年間約1500件の教育相談にも対応していますが、多面化する教育の諸問題に対応するためにも、専門相談員の配置充実や、他機関との連携強化に取り組むべきです。
教員の精神疾患による病休・休職の増加が顕著であり、復帰支援や教員補充が追い付いていない状況となっています。適切な休暇取得と長時間労働の是正の取り組み強化と共に、早期の教員定数改善を国に強く求めるべきです。
一方、当年度は、子ども医療費助成の拡充、出産・子育て応援金の支給、潜在保育士への就職支援金支給、高齢者へのごみ出し支援事業の実施、抜本的な浸水対策、水路転落事故防止対策、路面標示3カ年対策の実施、太陽光発電等の導入支援、福祉施設、農林水産事業者、交通事業者、中小企業・小規模事業者への物価高騰に対応する補助事業などに取り組んだことは評価できます。
その他、当然のことながら市民の生活福祉向上に向けた諸施策が展開されておりますが、さきに述べた政治的比重から本決算認定に反対を表明し、日本共産党三好剛史の討論といたします。
最善の利益保障の運営に
放課後児童クラブは、児童の遊びと生活の場ですが、子どもたちの最善の利益の保障を目的としており、個々の状況や発達段階を踏まえた育成を図る必要があります。
基準では、一教室の定員は概ね40人、少なくとも指導員2名以上を配置するよう定められており、屋外・室内での様々な遊びが展開されます。
しかし、近年の猛暑で毎日のように熱中症アラートが発表されており、その場合は外遊びができず、室内で過ごさなくてはなりません。
塩沢みつえ市議は市議会の一般質問で、夏休み期間中はクラブの利用人数が増加するため、教室の過密状態が予想される中で酷暑への対応を行わなくてはならず、子どもたちが安心して過ごせる生活の場になっているのか、実態を質しました。
対して市長は、「夏休みの利用者数は約1100人増加するが、子どもたちが過ごす部屋にはすべてエアコンが設置されている」と答えました。
しかし、体を動かして遊べるスペースはなく、一日を通してクラブで過ごすことになる子どもたちにとって、利用者が増えても教室数が変わらないのであれば、狭い環境での事故発生の要因にもつながりかねません。
塩沢市議は、学校との連携によって、使用教室を増やすなど、適切な生活環境となるよう、改善を求めました。
また、子どもへの適切な支援・関りを行う上で放課後児童支援員の役割は重要ですが、低い処遇と人手不足が問題となっています。
塩沢市議は、支援員の充足状況を質し、支援員が健康で働き続けられる環境づくりと低い処遇の改善を求めました。
市長は「職員配置は基準を満たしている」、「有給休暇の取得が進むよう体制の充実、初任給の引き上げなど、処遇改善も図ってきた」と答弁しました。
塩沢市議は、放課後児童クラブの過密な現状の実態調査を丁寧に行った上で、子どもの最善の利益の保障が実現できるクラブ運営を求めました。
6433名の市民要望に議会は応えず
「学校給食の公的補助を強め、完全無償化を求める請願」は、署名追加分を含め6433名が賛同のもと福山市議会へ提出されましたが、10月1日の議会本会議で議員の反対多数で不採択となりました。
9月20日の一般質問でみよし剛史市議は、8月の市長選で現職の枝広氏が「学校給食の無償化の実現を目指す」と言及したことについて市の方針を質したところ、給食費の無償化を「全国市長会を通じて強く提言する」と述べるにとどまり、独自に無償化を行う考えが無いことが明らかとなりました。
続く24日の文教経済委員会では、請願に対して委員会所属の議員による審議が行われましたが、みよし市議と市民連合は賛成したものの、その他会派の反対多数で否決されました。
その後の本会議最終日には、全議員による請願採択の賛否が取り扱われ、塩沢みつえ市議は改めて採択に賛成の討論を行いました。
塩沢市議は、「子どもたちが、お金の心配なく、おいしい給食をお腹いっぱい食べて、満たされた気持ちで学校生活を送ること、親として、子どもに関わる人として、これを望んでいるだけなのです。」「議会として、議員として、『市民の願い』に向き合い、後押しすることが求められています。私もその一人として力を尽くす決意を述べ、市民の皆さんとともに、学校給食費無償化実現のための一歩を、今、ここで踏み出しましょう。」と訴えました。
しかしながら、採決の結果は市議団2名と市民連合5名は賛成したものの、他の会派は要望に応じず、いずれも反対し、反対多数で否決されることとなりました。
引き続き市議団は、福山市での給食費無償化実現を求めて力を尽くします。
2024年9月議会の日本共産党・塩沢みつえ市議の一般質問です。
第一質問と答弁を掲載します。
塩沢みつえ:放課後児童クラブについて伺います。
厚労省の放課後児童クラブ運営指針によると、放課後児童クラブにおける育成支援は、「子どもが安心して過ごせる生活の場としてふさわしい環境を整え、安全面に配慮しながら子どもが自ら危険を回避できるようにしていくとともに、子どもの発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるように、自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等により、子どもの健全な育成を図ることを目的とする」とあります。
8月2日付けのこども家庭庁による「放課後児童クラブにおける事故防止について」の事務連絡によると、2023年中に発生した重大事故は651件。前年比86件の増となりました。事故発生の要因として、「狭いスペースで多くの子どもを遊ばせたこと、同じスペースで異なる遊びをすることで衝突や転倒の危険性が高まった」と分析されています。本市の放課後児童クラブにおける事故・けがの直近5年間の件数の推移と予防対策をお答え下さい。
夏季休業中は、在籍人数の増加からさらなる過密状態が予想されます。通常期と比較して夏季休業中の在籍人数の変化をお答えください。
環境省によると、今年度の熱中症警戒アラートの発表回数は1494回に達しすでに過去最多となっています。熱中症警戒アラートが発表されると外遊びはできず室内で過ごすことになります。運営指針では、「学校や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、子どもの遊びを豊かにするために学校施設や近隣の児童遊園・公園・児童館等を有効に活用する」とあります。酷暑への対応として、学校等と連携しながらどのような活用をしているのか、その具体をお示し下さい。
子どもにとって適切な養育環境が得られるよう支援する放課後児童支援員、補助員の役割は重要です。支援員等の充足状況と、資質向上のための研修内容と回数をお答えください。支援員等が健康で安心して働き続けられる環境づくり、処遇改善も不可欠です。ご所見をお示しください。
放課後児童クラブは子どもにとっての生活と遊びの場であり、子どもの状況や発達段階を踏まえた健全な育成を図ることが必要です。児童の権利に関する条約の理念に基づき、子どもの最善の利益を考慮した育成支援の推進に努めなければなりません。放課後児童クラブにおける「子どもの最善の利益」の保障について、また本市の現状を鑑みてのご所見をお示し下さい。
市長答弁:
次に、放課後児童クラブについてであります。
まず、クラブにおける事故・ケガの件数は、2019年度(令和元年度)から年度毎に、106件、86件、92件、93件、そして、2023年度(令和5年度)は107件となっています。
職員には安全管理の研修を実施し、児童には安全に関するルールを指導しています。
夏季休業中の在籍児童数は、本年8月1日時点で7,678人となっており、夏季休業前の6,544人に比べ、約1,100人増加しています。
夏季休業中は児童数が増加しますが、クラブで使用する教室に全てエアコンを設置しています。
職員配置は国の基準を満たしていますが、年度中途の退職や支援が必要な児童への加配のため、今年度4月1日以降、クラブ支援員3人、補助員73人を採用しています。
職員の資質向上のため、「児童の育成支援」「メンタルヘルス」「救命講習」等の研修を、年間28回開催することとしています。
長期休業期間においては、働きやすい環境づくりに向け、時間外勤務の削減や有給休暇の取得が進むよう、人材派遣を活用し、体制の充実を図っています。
また、初任給の引き上げなど、支援員の処遇改善も行ってきたところです。
引き続き、子どもたちが安心して過ごせる放課後児童クラブの運営に努めてまいります。