生徒指導規程の見直しについて(2025年6月議会一般質問)
2025年6月議会の日本共産党・みよし剛史市議の一般質問です。
第一質問と答弁を掲載します。
みよし剛史:教育行政について、
生徒指導規程の見直しについて伺います。
2022年6月にこども基本法が成立し、子どもの権利条約に則った権利擁護や意見表明権の確保等が法律上位置付けられ、同年12月に公表された改訂生活指導提要では、生徒指導の「留意点」の第一に「児童生徒の権利の理解」を位置づけました。
改訂提要では校則について、「制定の際の少数派の意見の尊重」、「守らせることばかりにこだわらない」、「理由を説明できない校則は本当に必要か、絶えず見直す」、「校則で悪影響を受けている子どもがいないかなどの検証」、「子どもや保護者の意見聴取」、「見直し手続きの公開」などに言及しています。校則は校長の権限で制定するものですが、提要は国が示す生徒指導の基本文書であり、大きな指針となり得るものです。
市教委のHPにおいて市立小・中学校・義務教育学校の生徒指導規程一覧のページが設けられていますが、6月5日時点で公開されているものは101校中84校、そのうち改訂提要の公表以降に改訂されたものは29校、改訂年度が明記されていないものが24校でした。また、改訂の手続きの明記もしくは考えを示しているものが10校、ツーブロックなど特定の髪型を禁止しているものが2校、下着の色まで指定しているものが4校、LGBTQなど個別配慮の必要性に言及してあるものが4校であることを確認しました。
これまでの改訂提要を念頭にした市教委の具体的な取り組み、現状について教育長の認識、今後の取り組みについての考えをそれぞれお示し下さい。
本市ではかつて、学校規律の違反行為に対するペナルティーの適用を基準化し、厳格に適用するゼロトレランス方式に基づき、男女別に下着の色まで事細かに指定し、問題行動の内容に応じて、説諭や反省文、警察との連携による特別指導、別室指導などが規定された生徒指導規程が多く定められました。中には下着の色を確認したり、化粧をしているか拭き取り検査をするなどの人権侵害や、指導に反発した生徒を逮捕する事例が続発しました。
ゼロトレランスに基づく生徒指導の問題は、国会や国連子どもの権利委員会において福山市の事例を具体的に例示して取り上げられ、合理性に欠けるルールや、人権侵害性が強い運用の問題が指摘されました。市教委は2017年以降、生徒指導規程を児童生徒が主体となって考え、つくり、守るものにつくり直すことを明らかにしましたが、あらためて、過去の生活指導規程やゼロトレランスによる生活指導が適切であったのか、教育長の現在の認識をお示し下さい。
現在の生徒指導規程においても、特別指導の規定があるものが26校あり、具体的な指導方法として、別室指導が13校、奉仕活動が7校、警察との連携が3校で記述があります。特別指導に個別の懲戒行為を定めている事の適切性について教育長の認識をお示し下さい。
旧提要においても、校則を「時代の進展などを踏まえ」「絶えず積極的に」見直すとしてきました。しかし、子どもの権利が守られない事例が多発したことも踏まえ、校則見直しの基準が必要です。
子どもの権利条約28条2項において、「締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる」と定めているように、子どもの権利を守るためにも生徒指導規程の見直しが絶えず実施されるよう、教育委員会として見直しに係るガイドラインの策定を求めます。ご所見をお示し下さい。
教育長答弁:
教育行政についてお答えいたします。
始めに、生徒指導規程の見直しについてです。
2022年(令和4年)に改訂された生徒指導提要には、「校則は、各学校が教育基本法等に沿って教育目標を実現していく過程において、最終的には校長により制定されるもの」と示されています。
本市では、学校や地域の状況、社会の変化等を踏まえ、改めて何のためのきまりかを問い直す必要があると考え、国の改定の前から児童生徒が校則の意味等を理解し、自主的に守ることができるよう、教職員研修を行っており、生徒指導規程等の見直しは進んでいると認識しています。
次に、個別の懲戒行為を定めていることについてです。
特別な指導は、児童生徒本人に対する教育的な指導であるという観点から、家庭の協力のもとに実施する必要があります。
学校は、特別な指導に関する基準や内容をあらかじめ生徒指導規程に定めているものであり、文部科学省の規定が適切に運用されたものと認識しています。
今後も、学校と児童生徒が主体となった、生徒指導規程の見直しが行われるよう支援してまいりますが、ガイドラインの策定は考えていません。
再質問は、福山市議会の会議録や中継映像をご覧ください。
(議事録の更新は次回の定例会開催前になります。)