2004/11/20 決算特別委員会の日本共産党の討論
福山市議会は、19日、一般会計や、特別会計など、15議案の決算が審議され、採決されました。
審議された議案の概要と、日本共産党の表決結果をお知らせします。
議第114号 一般会計歳入歳出決算認定について
●日本共産党(反対)
●その他の会派(全員賛成)
(日本共産党の討論の概略)
当年度の決算は、内海町、新市町の合併後はじめての通年予算執行の年であり、過去最大規模の決算額です。
今日の不況を反映し、市税の落ち込みで、自主財源構成比率は、前年度よりさらに3・6ポイント下回っています。
経常収支比率は、81・8%で、前年度より3・3ポイント下回っていますが、減税補填債や臨時財政対策債を含めた算出がなされたものであり、不安定要素を含んでいます。
公債比率は、17・0%で、前年度より0・2ポイント改善されてはいますが、依然として高い水準であり、大型開発、大型公共事業優先の行財政運営のあり方が、今日の市民生活を圧迫しているといえるものであります。その上、幹線道路整備推進費、商業施設費、ゴミ固形燃料化施設建設費、都市開発公社貸付金など、依然として不要不急の大型公共事業や、市民合意のない大型プロジェクトが推進されています。
これらの事業を可能な限り見直し、その財源を市民のくらし、福祉、教育に振り向けること、公共事業のあり方を生活福祉中心に改善することが強く求められるにもかかわらず、女子短期大学授業料、介護保険料及び分娩料の引き上げが行われるなど、使用料、手数料の改定で市民負担が増大されています。
保育料について、引き上げは行われなかったものの、国の徴収基準額に対する実際の徴収割合は、84.20%で、これは県庁所在地、政令市、中核市66市の中で3番目に高い割合なっている。多様な保育事業を展開し、市民ニーズにこたえる努力をしていることは評価できるが、保護者負担を軽減することが求められます。
教育の問題では、是正指導の名のもとに管理統制が進められ、昨年度決算で改善を求めたにもかかわらず、当年度も市教育委員会が小中学校に求めた報告書は253件617枚にのぼり、教職員の多忙化に拍車をかけています。当年度の休職者は小学校31人中学校13人、計44人。定年前退職者数は小学校61人、中学校18人の計79人。また、勤務時間外における業務従事記録簿が設置されていないなど、教職員の超過勤務の実態も把握されていないことは問題であります。障害児学級の拠点校化で、障害児童・生徒が校区の学校に通えない状況が改善されていません。
築25年を超える校舎の大規模改修は小中あわせて併せて93校、屋内運動場44校、保健室へ空調も未整備、小学校の図工教室、家庭科教室、パソコン教室など特別教室未整備の解消が図られておらず、児童生徒の安全で快適な教育環境整備が遅延していることも、黙過出来ません。
資源循環型社会の構築としてごみ固形燃料化RDF施設建設が進められましたが、この事業はごみの自区内処理の原則を突き崩し、減量化に逆行するものであり、大企業への新たな産業提供であることも見逃せないと指摘してきたものです。この事業が、技術的にも確立されていないものであるとのわが党の指摘は、福山市や全国で引き起こされている製造、貯蔵、発電所の度重なる事故で、今日明白となっています。
生活福祉資金は貸付中の566件中死亡79件、行方不明212件で、455万3000円の貸付金回収の見込みは厳しく、原資残額が33万円余であるにもかかわらず、長年にわたって原資の補充がなされないことは問題です。
鞆地区町並み保存事業費補助金が2000万円計上されているにもかかわらず、鞆地区道路港湾事業が進展しないことから、予算凍結が行われた。埋立て架橋計画とは切り離して町並み保存を行い、重要伝統的建造物郡保存地区選定に向け、努力すべきであります。
同和行政、同和教育行政について、解放会館は人権交流センターに、地区解放会館、教育集会所はふれあい交流館に名称を変更しましたが、引き続き部落解放同盟の事務所を存続させるなど、人権に名を借りて、同和行政の継続推進が図られる懸念は強まっています。また、同和対策特別措置法は、すでに2001年度末に一切の特別対策を終了することが求められているにもかかわらず、同和地区を特定して実態調査を行ったことは、同和行政継続の根拠とされる危惧があり、部落差別解消に逆行します。
福山市同和行政基本方針に基づくとして部落解放同盟への団体補助金1470万円、広島県東部人権行政推進連絡協議会への負担金107万9000円の支出、保育所保育料、国民健康保険税、固定資産税・都市計画税の減免を始め、個人給付事業を継続するなど、事業終了が先送りされていることは認められません。
学力向上地域支援事業は、小学生の算数、中学校生の数学、英語を中心に、学力向上と進路保障の目的で、一回につき5500円の講師への報酬を全額補助するものですが、このような特別扱いを継続するあり方も、市民の理解を得られません。
また、当年度も、公費で部落解放・人権政策の確立を求める集会に、行政職員224人が参加しことは問題です。
本年度実質収支額は、29億3019万2000円の黒字となり、その半額を財政調整基金に積み立てるとのことですが、市民生活が逼迫しているとき、市民のくらし、福祉、教育の予算に回し、市民生活を支えることが今求められています。
本会計は、地方自治体として市民の生活全般にかかわる事業が展開されており、当然のことながら、市民要望を新たに実現してきた数々の事業があることも評価できるものですが、以上にのべた諸点の政治的比重から、決算認定に反対を表明します。
議題118号 福山市競馬事業について
●日本共産党(反対)
●その他の会派(全員賛成)
(日本共産党の討論の概略)
競馬事業の売上げは低迷しつづけています。
関係者の懸命な努力によって、経費の節減などをおこなったにも関わらず、累積赤字は16億1193万7千円です。
当年度は、2億7564万円の基金取り崩し、14億3235万4千円の繰上げ充用をおこなっています。
こうした中、赤字の解消を図るため、民間事業者による場外発売所の増設をさらに計画されていますが、神辺、三刀屋にしても売上げは、見込みの半分というもので採算の見通しは立ちません。 場外発売所の設置は、青少年の健全育成、教育への影響も計り知れません。しかも、平成16年度には、競馬施設整備基金も6億円あまりになるとされ、当事業の健全経営への展望はきわめて困難です。
競馬事業は、公営とはいえギャンブルの拡大の方向でなく、戦後復興という当初の目的をすでに終えたものであり、直ちに廃止に向けて関係者と協議に入ることが必要であります。
以上のことから、本会計決算に反対します。
議第119号 国民健康保険会計について
●日本共産党(反対)
●その他の会派(全員賛成)
(日本共産党の討論の概略)
リストラ、倒産などを要因とした国保加入世帯が増加するなか、本年度、国保税は基礎課税額で一人あたり、前年度と比較して1499円減額したことは、評価出来ます。
当会計年度、国保税の収納状況は、現年課税分91・1%で、前年度に比較して1・5ポイント上昇、滞納繰越分の収納率は11・7%で0・5ポイント低下し、現年課税分と滞納繰越分をあわせた収納率は69.5%で、前年に比べ1・1ポイント上昇しています。これは、収納率向上への努力がなされたものではありますが、国保加入世帯の生活は依然として、厳しいことを物語るものです。
保険税の滞納世帯には、医療にかかる権利を奪う資格証明書が3160世帯、短期保険証が3964世帯に発行されており、中でも、未申告世帯と、所得段階20万円以下の世帯に2055の資格証明書が発行されているという状況は、所得の低い階層の医療にかかる権利を脅かすものです。
資格証明書の発行は、厳に悪質滞納者のみに限定すること、福山市独自の資格証明書適用除外規定・「特別の事情」をいっそう拡充し、生活保護に準じるような恒常的な生活困難世帯や診療が必要となった世帯には、無条件で保険証を発行することが強く求められます。
また、低所得者の医療費にかかる権利を保障するために、国保法第44条に基づく、一部負担金減免制度の実施を積極的に進めることが求められます。
いわゆる50%以下激減条件を取り外し、実効あるものとし、市民の命と健康を守る福山市の役割を発揮することが必要であります。
福山市の診療費は、広島県内13市中、世帯あたりで12位、一人あたりで13位と最も低いところにあるにもかかわらず、国保税は、世帯あたりで1位、一人あたりで2位と言う高い状況が示されていることは、市民の納得が得られません。
滞納者への資格証明書の大量発行を行いながら、国保基金24億2078万9000円を保有している状況は、市民の切実な要望に背を向けていると言われても致し方ない状況です。
これらを財源として、更なる国保税の引き下げ、申請減免制度の拡充を進めるべきです。
以上の点から、決算認定に反対を表明します。
議第120号 介護保険決算認定について
●日本共産党(反対)
●その他の会派(全員賛成)
(日本共産党の討論の概略)
この会計は、高齢者の年金から保険料を天引きし、高齢者の生活を圧迫するものとなり、滞納すれば介護サービスが受けられないなど、高齢者の福祉保障と相容れない状況を作り出しています。
日本共産党はこの制度の発足にあたり、国や地方自治体の責任の後退をはじめ、制度そのものの欠陥を指摘してきました。
当年度は、第1号被保険者の保険料基準年額を、3万8200から、4万1500円へ3300円、8・6%の引き上げが行われました。
また、国の訪問介護特別対策の緩和措置については、ホームヘルプサービス料金が2倍になり、高齢者の負担をいっそう重くするものとなっています。
本市独自の保険料、利用料の軽減制度も、更なる拡充が求められます。
要支援、要介護1の利用が増加していますが、これは、要介護認定ソフトの改訂で、一時判定で要介護1の認定率が35・7%から46・4%に引き上げられたソフトとなり、認定者の半数近くが要介護1になるということが、おおきな要因です。このようなあり方は、一人一人の高齢者にとっては、介護サービスの縮小につながるものです。
介護基盤の整備についても、特別養護老人ホームの待機者数が増加していることは高齢者やその家族の要求に応えることが出来ない切実な問題となっています。
国の介護保険に対する負担金を増額し、財政責任を果たすことを強く求めるべきです。
当 会計が、高齢者の介護を大きく支えるものであることは評価するものの、以上に述べた諸点における政治的比重から本会計決算認定に反対を表明します。
議題122号 福山市食肉センター特別会計決算認定について
●日本共産党(賛成)
●その他の会派(全員賛成)
(日本共産党の討論の概略)
本会計は、市民に安全でおいしい国内産の食肉を供給するものであり、畜産振興からも重要な役割を持っています。
BSEの発生により消費が低迷していた中で食肉センター整備により、消費者へ安全な食肉を供給してきました。
これまで、BSE感染の全頭検査を行い消費者の食肉への信頼も回復してきたところですが、アメリカは、日本政府に生後20ヶ月未満の牛のBSE検査はおこなわず輸入を全面解禁するよう圧力をかけています。本事業の果たしている役割からも
1、福山市として、引き続きbse感染の全頭検査を堅持すること。
1、政府に対して、牛のbse感染の全頭検査を堅持するよう強く求めること
以上のことを要望して、決算認定に賛成します。
議第126号 福山市誠之奨学金計決算認定について
●日本共産党(賛成)
●その他の会派(全員賛成)
(日本共産党の討論の概略)
当年は、新規貸付者が6人減少しています。
長びく不況の下、経済的な理由で就学が困難な生徒に対し、本制度が、進路保障の上でより有効な役割を発揮するよう、周知を図られることを要望し、賛成します。