2005/3/24 3月議会最終日―神辺町合併が可決
24日、福山市議会で、神辺町を合併することが、日本共産党以外の全員の賛成で可決されました。
わずか、1ヶ月、実質二回の協議で拙速に決められた、スピード可決です。
日本共産党は、●住民合意が得られていない ●拙速すぎる協議のために、必要な説明がされていない ●将来の財政見通しが不明確
などの理由で、反対しました。
日本共産党の反対討論の概要を掲載します。
福山市及び深安郡神辺町の廃置分合について(合併について)
福山市と神辺町との合併協議は、2月8日の第二回法定協議会から3月3日第3回協議会へと、実質2回、1ヶ月に満たない協議で、合併期日を2006年3月1日としたものです。
これほど、短期間の協議で合併に至るのは、全国でも極めて異例な事です。
この間、住民への充分な情報提供や議論は保障されず、住民から「拙速に合併するのは住民置き去りではないか」との批判が高まるのは当然です。
今日、合併の機運が醸成されたとは、とうてい言えるものではなく、自治体の合併という、重大な問題を拙速に進めるべきではありません。
これでは歴史に禍根を残します。
現在国が進めている、いわゆる平成の大合併は、最大の狙いが行財政改革であると言われる様に、国の財政破たんのつけまわしを、地方自治体に押し付け、地方交付税を削減するための手法として行われています。
小泉構造改革路線のもと、合併してもしなくても、地方交付税は減ることは明らかです。
新年度は、福山市一般会計予算は、沼隈町と合併して、はじめての通年予算となりますが、平成16年度2団体分と比べ、地方交付税は、マイナス8.1%予算総額、マイナス1.1%です。
人口規模が大きくなれば地方交付税の算定基準が下がる事から、今後、さらに財政運営が厳しいものとなることが予測されます。
全国では、長期財政見通しを作成し、合併後10年間は交付税の優遇措置の効果はあるが、その後逆転し、15年目あたりには、市債の償還が財政を圧迫し、その後、さらに長期試算をすれば、合併しないほうが有利であるとの試算を導き出している自治体が次々生まれています。
合併特例法の期限内に合併へと急いだ「福山市・神辺町合併建設計画」によると、総額271億円の建設計画のうち、合併特例債は135億円であり、多くは、国・県の事業が含まれて「継続事業が大半で新規が少なすぎる」との批判が数多く寄せられています。
福山市はこれまで内海町、新市町、沼隈町を編入し、さらに神辺町を編入すれば、市域は518.04平方キロメートルと広大なもので、人口は45万6908人となり、自治体としての一体感や、人と人のつながりの希薄化や周辺部の過疎化が一層進む事が懸念されます。
合併を推進するために盛んに言われてきたサービスは高く、負担は低くなどの宣伝文句も現実は、神辺町民にとってはきびしいものです。
国民健康保険税、下水道使用料、介護保険料、し尿処理手数料、等は福山市の制度に統一することにより、負担増になります。
法人市民税、都市計画税、事業所税については、3年ないし、5年後は増税となるものとなっています。
また、今回、神辺町を編入する事により、新たに市債が増高し、福山市民にとってもサービスの後退や、負担が重くなる事が懸念されます。
次に合併に伴い、役場は支所となり、職員が大幅に減らされ、周辺地域が寂れる事が懸念されます。
これまで合併してきた内海町では、合併前58人であった職員が26人減らされ、現在32人であり、新市では245人であったものが89人減の156人となり、この前合併した沼隈町では、96人から34人減の62人の体制となり、新年度さらに削減される事が予測されるもので、きめ細かいサービスが後退する事が懸念されます。
これに伴い、人の流れが激減し、出入業者や周辺の商店・業者の経営にも深刻な影響が心配されます。
特別職と失職する町議の扱いも重大です。
特別職については、合併後、別途協議とありますがこれまでの例では、参与として相当額の報酬が支払われています。
失職する町議を行政推進員に任命し、15ヶ月にわたって、議員報酬と同額の30万円を支給するとの事が示されていますが、とうてい市民の納得・合意が得られるものではありません。
こうしたあり方に、これまで市民から強い批判の声が高まり、先の12月定例会には、市民から「沼隈町地区行政推進員の設置を取りやめることを求める」請願が提出されたところであります。
市民から「合併を誘導するお手盛りではないか」「ムダ使いだ」との批判が高まることは必至であります。
合併特例法に示す、地域審議会を設置し、費用弁償にするべきであります。十分な情報公開と十分に時間をかけて市民討論を進め、合併するか、しないかは最終的に住民投票で行うべきです。
あまりにも拙速に神辺町を編入することについて、後世に禍根を残すものとして厳しく抗議し、反対します。
また、福山市及び深安郡神辺町の廃置分合に伴う財産処分に関する協議については、合併関連議案として賛成することはできません。
福山市及び深安郡神辺町の廃置分合に伴う経過措置に関する協議について
議会議員は現行22名が、合併特例による選挙で、4名を選出するとのことですが、現行議員1名あたり、1835人が、合併後は、約1万人となります。
住民の声が、行政に届きにくくなることは明らかであります。
農業委員は、現行22名が15名となり、さらに2006年4月30日以降は別途協議するとありますが、大きく減少することが懸念されるものです。
周辺地域の農業は、国土の保全の上からも重要な役割を果たすもので、農業委員の町に対応する人数の削減は大きなデメリットであります。
以上の点から神辺町の合併に関する、3議案について、反対を表明します