子どもや親の個人情報を収集、何のため!?
福山市は、「貧困や虐待などにつながる子どもや家庭の異変」を早期に発見するためとして、子どもの様々なデータを収集・整理・分析する事業を始めます。
今年度は、モデル校を選んで実証を行います。
これは、岸田政権が検討している「こどもデータベース」と同じ仕組みです。
政府は、子どもや家庭の個別の情報を集めてデータベースをつくり、支援が必要な子どもや家庭を把握して、プッシュ型で支援につなげるとしています。
対象となる情報は、子どもの成績や健康状態、悩みごとや発達障害の有無、保護者の就労や生活保護の利用、水道料金や給食費の滞納の状況など多岐にわたる項目が議論されています。
児童虐待のデータを人工知能AIで分析して、緊急性などを判断する統一ツールの開発も進めています。こどもに関する情報・データ連携 副大臣プロジェクトチーム(デジタル庁ホームページ)
↑画像出典(こどもに関する情報・データ連携 副大臣プロジェクトチーム(第1回)資料より)
プライバシーのかたまり
子どもや親のプライバシーに関わる情報を収集・活用することは人権侵害につながる危険があり、一時期の状況だけで家庭のリスクを判断すれば偏見を助長する可能性もあります。
政府の会合でも、これらの情報は「プライバシーのかたまり」であり、「国民の理解を得ることが当然、何より重要」と指摘されています。
個人情報保護の観点から「成績やメンタルなど個人の資質を自治体内部で共有することは許されるか」との懸念も示されています。
職員を増やして
福山市はデータを分析し、子どもの「非認知能力」を明らかにするといいます。
非認知能力とは、意欲や自制心、やり抜く力、社会性、自律性などとされています。
子どもの内心が調査され、教職員などの負担も増える恐れがあります。
また、「課題が表出していない段階で予防的な支援につなげる」としていますが、保護者が監視、管理されていると感じれば、かえって必要な支援が届かなくなる可能性もあります。
人権を侵害しかねないデータ連携やAI判定に前のめりになるより、教育や福祉、医療にかかわる職員を抜本的に増やし、専門性を高めることこそ重要です。
子育て支援制度や相談体制を充実させて使いやすいものにし、子育て世帯の生活基盤の安定や教育無償化などの政策を強化することに力を入れるべきです。