« 2022年12月議会 一般質問の日時と項目 | メイン | 健康保険証の廃止とマイナンバーカードについて(2022年12月議会一般質問) »

福山市の個人情報保護制度について(2022年12月議会一般質問)

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。


河村ひろ子市議:個人情報保護条例の廃止による影響について伺います。

本市は、2023年4月施行の個人情報保護法改定に伴い、施行条例を制定し、現行の個人情報保護条例を廃止する方針です。

現在、本市ホームページの「個人情報保護制度の概要」には、制度の目的を「個人情報に関する市民の権利を保障するとともに,個人情報の適正な取扱いを定め,市民の基本的人権を擁護すること」と明記し、「市が個人情報を扱うときの原則」などが掲載されています。条例の廃止によって、これらの目的や原則の表記が変更されるのか、お答えください。

また、市長は昨年度の議会で「本市は個人情報保護条例にもとづき、情報セキュリティポリシーを定め、外部ネットワークとの接続が必要な場合は個人情報保護審議会へ諮り、厳格な個人情報保護対策を講じている」「個人情報を扱うシステムはインターネットから遮断する」との答弁をされています。条例の廃止によって情報セキュリティポリシーや個人情報保護対策に後退があってはなりませんが、見解をお答えください。

個人情報の保護に関する法律施行条例について伺います。

法改定の目的は「個人情報保護とデータ流通の両立」とされますが、利活用を優先して保護を後退させるものとなっています。

地方自治体が保有する個人情報の管理は法定自治事務であり、自治体には法律を自主的に解釈して運用する権利があり、国には地域の特性に応じて実施できるように特別に配慮する義務が課せられています。保護法第5条も「区域の特性に応じて、個人情報の適正な取り扱いを確保するために必要な施策を策定し、実施する」と地方自治体の責務を定めています。国の法律を単に施行するのではなく、地方自治の本旨にもとづき、憲法が定める自己情報コントロール権、基本的人権を擁護するために、これまでの保護規定を後退させず、維持・発展させるよう条例を制定するべきです。

東京都世田谷区は、施行条例とせず、個人情報保護条例の名称を維持しており、条例素案の「目的」には「区民の基本的人権の擁護と信頼される区政の実現を図る」と明記されています。

本市も、施行条例ではなく個人情報保護条例とし、「個人の尊厳に係る基本的人権を擁護する」という現行の目的規定を新たな条例にも明記することを求めますが、ご所見をお示しください。

本市は施行条例で法の規定による事項を定める方針ですが、それだけでは不十分です。条例要配慮個人情報に「性的指向及び性自認」を定めることは評価できますが、保護法は要配慮個人情報の収集や記録の禁止を規定していません。また、個人情報の本人からの直接収集の原則はなく、目的外利用や外部提供についても「相当の理由」や「特別の理由」があれば可能としており、現行の個人情報保護条例の規制より後退します。条例として長年運用してきた保護措置は「地域の特性」に該当すると考えられるため、新たな条例でも規定し、住民の権利利益の侵害を防ぐことを求めます。ご所見をお示しください。

本市は、条例の市議会議決後、来年1月に広報に掲載して市民に周知するとしています。情報の主体であり主権者である市民の意見を反映せずに条例を制定するべきではありません。条例案のパブリックコメントの募集を求めます。ご所見をお示しください。

死者の個人情報について、保護法では個人情報は「生存する個人に関する情報」と定義されました。死者に関する情報の取り扱いについて、「個人情報保護制度とは別の制度として条例で定めることは妨げられない」とされており、死者の尊厳、名誉、人格権を守る目的で独自の条例を制定するべきですが、ご所見をお示しください。

情報の利活用について、経団連が新成長戦略で「死活的に重要なのがデータの活用」としたように、個人情報が利益を生み出す資源とされています。AI(人工知能)によるプロファイリングも可能なデジタル社会だからこそ自己情報コントロール権の確立が重要です。

本市は子育て支援アプリを導入しており、母子健康手帳や子どもの写真、成長、育児などの記録が集積されます。企業の利用規約には、取得した情報を事業目的に利用する場合がある、投稿したコンテンツの利用権を第三者含め企業に許諾する、サービスに法律上の瑕疵がないことを保証せず、損害賠償の責は負わないという趣旨の記述もあります。サービスを利用すると、これらの規約に取消不能な同意をしたものとみなされます。

市として個人情報の取り扱いや注意事項の説明はありませんが、市が連携するアプリだからと、信頼して利用する可能性もあります。

行政として市民の権利利益の侵害が起こらないよう責任を持ち、プロファイリングや営利目的での利活用を規制する契約条件とするべきです。また、利用規約の分かりやすい説明と同意のプロセス、同意の取り消しの権利を保障し、運営状況について市民の立場に立った監視体制をつくることを求めますが、ご所見をお示しください。

市長答弁:河村議員の御質問にお答えいたします。

始めに、個人情報保護制度についてであります。

個人情報を適切に管理するため、個人情報保護審議会に諮問した上で、目的外の利用や外部への提供の制限に関する規程等を策定することとしており、法律の施行により本市の個人情報保護制度が後退するものではありません。

なお、本条例は個人情報保護審議会に諮問しており、パブリックコメントを実施する考えはありません。

次に、死者の個人情報については、不開示情報に当たるという見解が国から示されています。

次に、情報の利活用についてであります。

民間事業者においても、法律に基づき個人の権利利益の保護が求められています。

以上

市議団の紹介
高木たけしプロフィール みよし剛史プロフィール

仁比そうへい 活動日誌

ひろ子ワールド