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介護保険事業について(2025年12月議会一般質問)

2025年12月議会の日本共産党・塩沢みつえ市議の一般質問です。

第一質問と答弁を掲載します。

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塩沢みつえ:介護保険事業について、訪問介護事業所の状況について、質問します。

 東京商工リサーチの調査によると、2024年の介護事業所倒産は172社、そのうち半数近い81社が訪問介護でした。これは2000年に介護保険制度が始まって以来、過去最多です。また2024年度の厚生労働省の調査で、介護サービス事業所のうち訪問介護など在宅系サービスで35.6%が赤字だったとわかりました。

 本市においても、2024年度の介護保険事業所の休・廃止件数が48件にも上っており、そのうち訪問介護事業所は6件で、原因は人員不足と経営悪化等によるものとのことです。高齢者の在宅での暮らしを支える訪問介護事業所の休・廃止についての認識をお答えください。また、休・廃止後の利用者へのサービスは継続できているのかお答えください。

 市内のある事業所では、「11月に最低賃金が引き上げられたが、訪問介護報酬は引き下げられているため最低賃金を保障することが難しく、自助努力だけでは経営が成り立たない」と窮状を訴えておられます。

 新潟県村上市では2024年の介護報酬改定後の市独自の調査によって、また東京都品川区は休・廃止の実情を受け、独自に前回の介護報酬との差額の公的補填等を行ったとのことです。本市においても、特に小規模の事業所は同様の状況にあると考えられます。

 我が党はこれまでも訪問介護事業所の経営状況についての実態把握を求めてきましたが、実態把握の必要性についての認識をお答えください。実態把握と合わせて市独自の支援策を求めます。ご所見をお示しください。

介護従事者の確保について、質問します。

 広島県の調査によると、本市の介護人材の将来推計は2026年が9千460人、5年後の2030年には1万172人と推計されており、5年間で約700人、1年間では140人の新たな介護従事者が必要ということになりますが、人材確保の重要性についての認識をお答えください。

 本市が行っている介護従事者の確保策と過去5年間の実績と費用について、併せて今後の確保策の在り方について、お答えください。

 民間会社の調査では介護従事者の減少の理由は、少子高齢化による生産年齢人口の減少、介護の重労働と低賃金等とされており、確保策と同時に離職防止の対策も重要と言えます。

 東京都では介護業界からの人材流出に歯止めをかける目的で、介護職員と介護支援専門員に対して居住支援特別手当として、国の見直しが講じられるまでの間、月額1万円を支給しています。

 本市も離職防止を目的とした独自の処遇改善策を早急に行うべきと考えますが、ご所見をお示しください。

 

ケアマネージャーの確保について、質問します。

 介護の要であるケアマネージャーの役目も重要です。本市の居宅介護事業所は、2024年度の休・廃止は11件でした。休・廃止の要因をお答えください。

 介護現場では、ケアマネージャーが不足しているために新規利用者の受け入れが難しい、あるいは遅れるという実態があることも仄聞していますが、本市においてケアマネ不足による困難事例が起きていることを把握しているのかお答えください。そのような状況は生じてはならないと考えますが、市としてどう認識しているのかお示しください。

 一人の介護利用者に対して、本人の状態の把握、訪問調査の立ち合い、関係者とのカンファレンス等、さまざまな業務が必要とされます。現在の担当件数の上限は44人にもなりますが、ケアマネージャーの業務の多忙さについて認識をお答えください。

 また、ケアマネージャーの業務改善の手立てについてお答えください。今後、介護認定者数がピークを迎える2040年に向けてケアマネージャーの存在はますます重要です。市の認識をお答えください。

 

介護保険制度の見直しについて、質問します。

 厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会において、2027年度の介護保険制度の見直しに向けた審議が行われていますが、「利用料2割負担の対象者拡大」「ケアプランの有料化」等について、利用者の負担増が進められようとしています。

 しかし、年金暮らしの高齢者の家計を物価高が直撃する中、利用者の負担増は限界です。介護サービスの利用控えやケアマネージャーの業務の増加が継続すれば、利用者に必要な支援が保障された介護保険事業を維持できなくなると言わざるを得ません。

 利用者の負担増を伴う今回の見直しは中止すること、介護保険事業への公費負担増を国に対して強く要望することを求めます。ご所見をお示しください。

市長答弁

塩沢議員の御質問にお答えいたします。

始めに、介護保険事業についてであります。

まず、訪問介護事業所の状況についてであります。

本市の訪問介護事業所の休·廃止の主な理由は、人員不足と認識しています。

なお、今年度は、法人変更を除けば休・廃止はありません。6件が新たに開設しています。

事業者が休・廃止した場合には、担当するケアマネジャーが利用者に別の訪問介護事業所を紹介するなど介護サービスが継続できるよう調整をしています。

経営の実態把握のため、介護人材の確保について、現在、調査を行っています。

独自の支援策については、考えていません。

 

次に、介護従事者の確保についてであります。

本市では、ハローワークなどと連携し、介護人材に特化した就職相談会の開催や介護職のイメージアップに繋がる広報に取り組んでいます。

また、職員のキャリア形成を支援するための研修費補助や、介護ロボットなどの導入を支援するアドバイザーを派遣し、介護職員の離職防止に繋がる取組を行っています。

また、過去5年間の人材確保に向けた取組の実績は、介護職員研修費の補助が、2020年度(令和2年度)からの5年間で、78人、約214万円、介護支援専門員更新研修費の補助については、2023年度(令和5年度)からの2年間で、170人、約272万円、アドバイザー派遣事業については、2024年度(令和6年度)の1年間で5事業所、約43万円となっています。

今後も、外国人等の多様な人材の確保に向け取り組んでまいります。

 

次に、ケアマネジャーの確保についてであります。

居宅介護支援事業所における休・廃止の主な理由は、ケアマネジャーの不足によるものです。

ただ、これにより介護サービスが利用できないなどの相談は、現在のところ受けていません。

ケアマネジメント業務は、ケアプランの作成に加え、多職種との連携など多岐にわたります。

加えて、介護需要の拡大などもあり、業務量は増大しています。

介護サービスの提供に当たって、ケアマネジャーは欠かせない人材です。

このため、国は、ケアマネジャーの負担軽減に向け、「ケアプランデータ連携システム」の活用を勧めており、本市では、アドバイザーを派遣し、事業所への導入を支援しています。

 

次に、介護保険制度の見直しについてであります。

現役世代が急速に減少し、高齢者数がピークを迎える2040年頃を見据え、将来にわたって社会保障制度を持続させるために検討されているものであり、国に対し、中止を要望することは考えていません。

なお、介護保険行政の安定的な運営のため、国費負担割合の引上げについて、全国市長会を通じて要望しています。

再質問は、福山市議会の会議録や中継映像をご覧ください。

(議事録の更新は次回の定例会開催前になります。)

https://ssp.kaigiroku.net/tenant/fukuyama/pg/index.html

https://fukuyama-city.stream.jfit.co.jp/

 

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