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6-①鞆の歴史的まちづくりについて(2017年3月議会代表質問)

6.建設水道行政について   

 ① 鞆の歴史的まちづくりについて

土屋とものり:鞆の歴史的まちづくりについてお伺いします。

 2月17日の文教経済委員会で、鞆町の歴史的町並みを保存するために、今後、鞆町伝統的建造物群保存地区の保存計画を策定することが報告されました。

 今後は、本年6月頃を目途に、保存計画を告示する予定です。

 鞆町は、古来、潮待ちの港町としてさかえ、多くの歴史遺産を、残しています。そのため、今回の保存計画の策定は重要な一歩となります。以上の点を踏まえ、次のことにお答えください。

 

 これから福山市は、8.6haの範囲について、保存方針、伝統的建造物の特定や、地区内の管理、防災施設、環境整備、助成措置などの計画を定めることになります。

 そして、文化庁へ計画を申し出、特に価値が高いと判断された地区が、重要伝統的建造物群保存地区に選定されます。

 選定後には、毎年、計画的に「修理」が進められます。 

 また、伝建建物以外の新築や増改築も、保存計画の基準に従い、「修景」工事が進められます。

 工事は、形式や意匠、工法、材料等を十分に検討し、伝統的建造物の場合は文化財建造物としての価値を維持・回復するように、それ以外の建造物は、歴史的風致と調和することが必要です。

 そのため、建造物の所有者と設計者、施工者、本市の文化財担当者が事前に十分に話し合いながら、工事計画を立てることが極めて重要です。

 現状では、市の学芸員などの専門家の体制は、2人とのことです。

 さらに、市の技師を含めて、鞆の重伝建の担当は計4人、とのことです。これでは、「世界遺産級」と称される鞆の浦の町並み保存の具体作業は、手薄すぎるのではありませんか。市の担当課へ、専従職員を配置するなど、万全の体制を構築することを求めます。

 また、専門的な技術をもった市内の施工業者の件数、現在の伝建建物の、補助制度活用の応募件数をお示し下さい。

 また、それに対応する申請・審査を終えるまでの時間は平均、何カ月必要なのか、お答えください。

 次に、災害対策について伺います。

 伝建地区内には、木造家屋が密集している上、これらがそのまま地区住民の生活の場でもあります。

 そのため、防災の備えは重要です。

 火災の備えのための、防火水槽や消火栓、自動火災報知器の設置や、防災センターなどの整備など、別途、防災計画の作成を求めますが、お答えください。 

 次に、伝建地区の管理についてです。

 鞆の重伝建地区では、今後、建築関係者、観光関係者、行政関係者をはじめ、様々な人々との協力が欠かせません。

 全国の他の伝建地区では、空き家を利用して、郷土資料等の展示機能や案内・交流などの機能を持たせた「町並保存センター」を整備しています。

 また、伝建地区を持つ自治体が加盟する伝建協(全国伝統的建造物群保存地区協議会)や全国町並み保存連盟に加盟し、先進事例の情報交換や町並みサミットなどを開催しているようです。

 管理・運営には地区住民が参画し、町並み保存センターを中核にして、イベントを開催したり、来訪者との交流会場や町並み保存の相談窓口としても活用しています。

 本市は、現在、拠点施設を整備していますが、ここを、町並み保存の拠点とし、積極的に支援することを求めます。

 次に地区内のサイン表示について伺います。

 道路や水路、駐車場などのオープンスペース、案内板や説明板などのサイン整備は、生活環境として不可欠なだけでなく、歴史的風致を形づくる重要な要素となります。

 そのため、整備は、安易な既製品や標準仕様ではなく、歴史的風致との調和が重要です。これらを進めるための、専門家や、建築士との緊密な連携が必要ですが、ご所見をお示し下さい。

 

 次に、住民合意と機運の醸成についてお伺いします。

 保存地区の整備を進めるには、地区住民を中心とした、多くの人々の活動が、積極的かつ自律的に進められる必要があります。

 全国の重伝建地区では、交流人口が増加することにより、地価下落を防ぎ、過疎化を食い止めている事例もあります。

 また、重伝建地区の選定により、固定資産税の免除や、有利な補助制度もあります。

 さらに、建築物の修景工事は、一定の補助金が支出され、さまざまな技術的援助もあります。

 保存会が設立された場合や、建築・行政関係者を含めた協議や相談の場の提供や、保存に努力された方々に対する顕彰措置などもあります。これらの、有利な制度を全て活用するとともに、情報を徹底的に周知し、丁寧に説明することを求めます。

 そのためには、文化財課や文化課など、関係部局が緊密に連携し、文化遺産を保存するための、きめ細かな対応を、積極的に果たすことが必要ですが、今後の方針をお示し下さい。

 2013年7月に、文教経済委員会で行政視察した、日本初の町並み保存をおこなった重伝建地区「妻籠宿(つまごじゅく)」では、「売らない、貸さない、こわさない」などの住民憲章をつくり、外部資本の参入を容易に認めていません。

 自主性を担保しつつ、このような情報も提供し、町並み保存へ積極的なイニシアチブを発揮することを求めます。

 次に範囲について伺います。

 今回は8.6haですが、この範囲外にも、貴重な伝建建物や、寺社、港湾施設などが多数存在しています。

 文教経済委員会では、今回の範囲外の伝建建物については、「今後、点で保存」するとのことでした。

 早急な対応を求めますが、将来的には、範囲の拡大も必要です。お考えをお示し下さい。

 次に港湾5点セットの国史跡指定についてです。

 雁木や焚場、常夜灯、波止、船番所の港湾施設が現存しているのは、全国でも鞆の浦だけです。

 これらが醸し出す景観は「国民共有の財産」と評されていますが、史跡指定はされていません。

 国の史跡に指定することを目指すべきですが、お考えをお示し下さい。

 以上について、それぞれお答えください。


答弁(教育長)

 鞆の町並み保存につきましては、専門資格を有する職員を中心に、計画的な整備事業の推進に努めており、今後も適正な人員配置を行う中で、着実に取組を進めてまいります。

 専門的な技術を持った市内の施工業者の数につきましては、広島県建築士会に登録されている歴史的建造物の保全・活用に携わる専門家が所属する事業所は、15社程度と把握しております。

 現在の伝統的建造物の補助制度活用の応募件数につきましては、約50件となっております。

 申請から審査を終えるまでに必要な時間につきましては、規模・内容も多様であるため、一概には言えませんが、3カ月から5カ月程度となっております。

 

 次に、災害対策についてであります。

 住民の皆様が安心して生活出来るよう、今後策定する「保存計画」の中に、防災計画策定の必要性を盛り込む予定であります。

 なお、今年度、保存地区の中心部に耐震性貯水槽を設置したところであります。

 拠点施設の整備につきましては、ワークショップでの議論を踏まえ、他市の事例も参考にしながら、住民や観光客が集い、にぎわいの創出ができる施設となるよう、整備に取り組んでまいります。

 サイン表示につきましては、伝統的建造物群保存地区保存審議会委員と連携し、町並みの景観に配慮した案内板や説明板等を適切な個所に設置してまいります。

 次に、住民合意と機運の醸成についてであります。

 これまで、市主催の相談会や説明会を開催するとともに、鞆の町並みの魅力を紹介する講演会の開催やパンフレットの作成等にも取り組んできたところであり、今後も、関係部局と連携し、住民の皆様と情報を共有してまいります。

 

 次に、保存地区の範囲についてであります。

 まずは、江戸時代、・明治時代などの古い建造物が密集して残り、港湾施設とともに港町の特徴をよく表わしている区域として現在、決定している保存地区8.6ヘクタールについて、保存計画を策定し、重伝建選定につなげてまいりたいと考えております。

 保存地区の拡大については、将来に向けた検討課題と考えております。

 次に、港湾5点セットの国史跡指定についてであります。

 現在、広島県が、老朽化した雁木の復元整備事業を行っておりますが、この整備と並行して、県と市が共同で発掘調査を行い、文化財としての価値を調査しているところです。

 他の港湾施設についても、広島県と協議しながら、引き続き、学術的な調査研究が必要であると考えております。

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