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2004/10/29 今こそ旬 憲法9条「日本国憲法と平和を守る講演会」

 10月29日、福山革新懇(平和・民主・革新の日本をめざす福山懇話会)は、尾道法律事務所の井上正信弁護士を招き、『今こそ旬 憲法九条 日本国憲法と平和を守る講演会』と題して、憲法九条を取り巻く現状と、今後の展望について、学習会を開きました。
会場には、約50人の参加者が詰めかけ、井上氏の講演に耳を傾けました。講演の概要を報告します。

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 憲法が作られたのは、国家権力を国民が規制するためで、変えられないし、これからも変わらない。憲法九条の最大の目的は、国家に戦争をさせない事、です。
 現憲法の最大の特徴は、基本的人権が厚く保障されている事ですが、世界でもトップレベルの人権保障をうたっています。
 国家が戦争をするためには、有事法制に見るように、人権を抑圧しなければなりません。日本国憲法は、議院内閣制や司法権の独立などは、日本だけの特異なものではなく、イタリアの憲法にも見られます。
 つまり、第二次世界大戦の痛苦の反省にもとづいて、世界が平和を求める中で、憲法ができたといえます。
そして、戦争の反省のもとに、国連が創設され、国連憲章を唱えました。この流れの中でつくられた憲法は、国内に向けて平和を宣言していると言うより、国際社会に向けて、日本が侵略国家にならない、と、私たちが約束したものと言えます。

武力で国際紛争は解決できない

 現在、70%の国民が戦争を知らない世代です。戦争で殺されると言う事が、いかに人間を粗末にするか。人類は何度も経験してきました。
北朝鮮問題の例で説明します。なぜあのような要塞国家が出来たか。
それは、朝鮮戦争が原因で、当時三年間で300万人が殺されました。
北朝鮮も、韓国も、大量のナパーム弾で、焼き尽くされました。北朝鮮は核攻撃の危機に、3度さらされました。だから北朝鮮は「核に対する信仰」すら持っているのです。
今の北朝鮮を作ったのは、力で他国をねじ伏せようした結果です。
国際紛争を武力で解決しようとして、北朝鮮が今のようになったのです。
 イラクは、今、泥沼に陥っています。ミリタリーバランスには、「日本とアメリカが一番のテロの標的」と記されています。
これらの事は、武力で国際紛争を解決しようとしても、絶対に解決できない、ということを示しています。

日本が「殴る側」に立つことがねらい

「安保防衛問題懇談会」(首相の諮問機関)によると、憲法改悪を前提に、日本国の防衛と、周辺地域の安定だけでなく、世界中の脅威の予防を行う、と書いています。
これは、日本の国益になる、という解釈です。
しかし、政府の言う国際的な安全は、武力の行使、つまり、戦争を指しています。
 政府は、自衛隊の海外派兵を本来の任務にし、海外派兵を恒久的にしたいのです。
つまり、憲法を改悪し「日本が殴る側」に立つ事が最大の目的なのです。また、改憲派は、今の日本国憲法を「非現実的」「時代遅れ」と言っています。
しかし、この議論はおかしな話です。なぜなら日本の国益を守るために、相手国に戦争をしかけるのは、究極の一国主義で、これこそ時代遅れの考え方です。
改憲派のやりたい事が、憲法があるために出来ないから、憲法の歯止めを取り払おうとしているわけです。

改憲策動はアメリカと財界が震源

 改憲策動はアメリカと財界から出てきたものです。
 財界が海外で営業活動をしやすくするために、自衛隊を警察権力として海外に派兵し、企業を守り、他国でもし内乱などが起こった場合、それを制圧することが目的なのです。
 憲法改悪を狙う最大勢力は、『日米同盟』にあります。海外で日本がアメリカとともに戦争をすることを目的としています。
政府が一番恐れている事は、『日米同盟』の崩壊です。 
日米同盟は、今や日米安保条約の枠を越えています。
小泉首相の日米同盟の理解は、アメリカの一国覇権を無批判に受け入れるものです。アメリカは、『先制攻撃戦略』と言って、自分の気に入らない国を、核兵器も含めて、先に攻撃し、政権をも転覆するという国際戦略を持っています。今後、私たちは、「アメリカの戦略ほど危険なものはない」という認識を持つことが必要です。

様々な改憲論

 いま、様々な改憲論が出てきています。 
例えば、解釈改憲最悪論。これは無原則な解釈改憲で、自衛隊を憲法で規定すべきだという、議論です。
善意の改憲論者がおちいる落とし穴です。
 いま、自衛隊を合憲とする意見は、大多数の、国民の意識のためで、そのために改憲するというのは、理論的におかしいし、改憲の必要はありません。
 それよりも、今の憲法ですら、解釈改憲でイラク多国籍軍へ参加させる政府に、自衛隊を合憲とすると、今後、政府は何をするかわかりません。集団的自衛権も、政府はでたらめに拡大・濫用解釈を行い、安保理決議も、歯止めになっていません。憲法九条こそが、実行力のある歯止めとなっているのが現状なのです。

国際貢献改憲論

 自衛隊は給水活動をしているのだから、海外に派遣しても良いじゃないか、という議論があります。
 しかしイラクでの自衛隊の給水活動の実態は、作った水の三分の一を自分達で使っており、NGOが水を作るよりもそうとう費用が高くかかっています。

東アジアの共同体をどうやって作るか

 東アジアでいかに戦争を防ぎ、平和的に共存し、経済的に発展するか。今、多くの人が研究しています。
 そのような動きの中で、日本が改憲をすると、アジアの緊張を日本が高めてしまう事になります。
アジアの中で、改憲は最悪の国際戦略と言えます。 
 
憲法改悪反対運動の今後の展望

 今の改憲論は「殴る側にたつ」ための改憲論です。しかし、これまでの運動の枠では、九条は変えられるでしょう。
政党の中で、明確に「憲法改悪反対」と訴えているのは五%のみで、「新しい多数派を作ろう」と言う動きをもっと大きく作らないといけません。九条には、一言も手を加えさせない事が大切です。

「環境権」「知る権利」現在の憲法で対応できる

「環境権」「知る権利」などに惑わされてはいけません。 
これらの権利はこれまでの運動で規制もあり、十三条や二十一条で充分対応できます。
『環境権』を振りまく勢力はこれまで何をやってきたか考えてみましょう。
 彼らは、巨大企業の無秩序な生産活動に手を貸し、環境保護に一番不熱心でした。また、盗聴法なども作り、「プライバシー」を一番、侵してきました。
 今後は、九条に一言も手をつけさせない努力と、イラク派兵を撤退させる運動が大切になってきます。

たたかいの意義

 民主勢力はこれまで、少数であっても、日本国憲法が、たたかいのよりどころになっていました。
改憲されたらどうなるでしょう。平和・民主勢力がよりどころを失います。そして、日本が歴史の厳しいしっぺ返しを受けない限り、九条を復活させる事は不可能に近いことです。
 九条の改悪は、世界に政治的・人道的破局を招く事になります。
しかし、このたたかいで、改憲を阻止させる事が出来れば、改憲勢力を再起不能にさせる事が出来ます。

むすび

 今日からでもすぐに、どんな小さな場所でも、憲法の意義を話し合える、学習会を網の目で開きましょう。

参加者の感想

 参加した十九歳の大学生は「もっとたくさんの人に聞いてほしいと思った。大変勉強になった。家族にも知ってほしい」と語っていました。また、別の大学生は「勉強になった」と、関係する書籍を買い込んでいました。
 岡山から参加した三〇代の女性は、「人を殺す事がどういうことか考え心が痛んだ。イラクでは、戦争やテロをしているが、命の大切さは一人一人がみんな、考えないといけない。仕事が忙しく九条の勉強などは、出来ていないが、話を聞いて頭がガツーンとした。九条を学ぶ運動をもっと大きくしないといけない。みんなで変わっていかないと、改憲勢力から憲法を守る事はできない、と思った」と話していました。

憲法九条の学習会を網の目で開きましょう。講師派遣などの相談は下記まで。℡084-982-2777(高橋さん)

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