2004/8/12 安心できる介護保険制度へ 制度の見直しでなにがかわる?①
―介護保険制度の見直しを考える①―
介護保険制度の見直しを進めている厚労相の諮問機関、社会保障審議会・介護保険部会が現在、意見書を取りまとめています。来年は、介護保険制度が発足して、五年目をむかえ、大きな制度見直しが行われる年です。この見直しで、何が議論され、何が変わるのでしょうか?考えてみたいと思います。
介護保険見直しをめぐる動き
財政制度審議会は、介護保険の利用料を二~三割引上げることや、減免制度措置で、資産評価をする事を提起するなど、負担増の介入をしています。
また、財界、経済界は、給付抑制、自己負担の引上げを求める圧力をかけてきています。
しかし、その一方で、国民の立場から、介護保険制度の改革を求める提言や、様々な運動も広がっています。
政府の介護保険部会の制度見直し意見書は、論点ごとに区切られ、今年の年末に改革案が取りまとめられ、来年の通常国会に提出、という流れです。
介護保険部会の見直し議論の論点は、Ⅰ.基本的視点、Ⅱ.給付のあり方、Ⅲ.負担のあり方Ⅳ.制度運用のあり方という、四つの柱から成り立っています。
Ⅰ.基本的視点
見直し議論では「将来を見据えた制度持続のため、給付を減らし、負担増が必要、としています
Ⅱ.給付のあり方
介護サービスを「予防」「痴呆」「一人暮らし」という三つのモデルを新たに示し、給付を「重点化・効率化」「新しいサービスの確立」「軽度者への見直しと、サービスの質の確保と向上」「公正・効率な要介護認定」を提起。軽度のサービス切り捨てを謳っています。
Ⅲ.負担のあり方
本人負担の引上げを中心に提起。給付は、現制度の矛盾点の一定の改善策はありますが、軽度のサービスの切り捨てなど、全体として、給付減、負担増になっています。
Ⅳ.運営のあり方
制度の運営は、市町村を保険者とするなど、基本的な枠は維持しますが、事業者の指定を更新制にしたり、欠格事由の見直し、保険者機能を高めるため、市町村長への事業者立ち入り権限を与える事などを、提起しています。
介護制度の見直しは、福祉を措置制度から、契約制度にし、応能負担から受益者負担に後退させるなど、よりいっそうの、福祉の公的責任の縮小と変質をすすめることが狙いです。国民の立場からの制度改革の運動を、すすめるため何が必要でしょうか。
次回で報告します。(この報告は週一回発行している、市議会議員活動報告『土屋とものり かわら版』の掲載記事を加筆したものです)