2-③地域包括ケアシステムについて(2017年3月議会代表質問)
2.民生・福祉行政について
③ 地域包括ケアシステムについて
土屋とものり:高齢者施策について 地域包括ケアシステムについて質問します。
高齢者が出来るだけ「住み慣れた」地域で、自分らしい暮らしを最期まで続けることが出来るよう、医療・介護・予防・住まい、生活支援が包括的に確保されるのが地域包括ケアシステムです。
この構想そのものは重要ですが、国の施策の実態は、医療や介護給付の削減を目的に「脱施設」「在宅偏重型」となっています。
そして、公的責任を後退させ、民間企業やボランティアなど、「自助」や「互助」を全面に押し出し、当初の理念とは程遠いのが現状です。
本年2月7日、国は「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」を打ち出しました。
法案には、廃止される介護療養型医療施設の転換先でもある「介護医療院」の創設や、高齢者と障害児者が同一事業所でサービスを利用できる「共生型サービス」も盛り込まれています。
また、「自立支援・重度化防止」の目標を市町村に設定させ、その実績によって財政支援を受けられる事や、利用料の3割負担化も検討されています。
「共生社会」と称し、福祉サービスの切り捨てや、社会保障費削減を進めようとするやり方は許されません。
国に対し、法案の撤回を要望することを求めますが、ご所見をお示し下さい。
本市では地域包括ケアシステムの推進に向け、医師会など31団体で構成される「福山市地域包括ケアシステム推進会議」が設置されています。ところが、今年度は1回も会議が開催されていません。また、認知症部会、在宅医療・介護連携部会・生活支援サービス部会なども設置されていますが、各会の役割をさらに発揮するには行政のイニシアチブが不可欠です。
今後の取り組みについてお答えください。
現在、保健師による地区診断や、一部の地域包括支援センターによる地域調査が行われていますが、全市的な取組にはなっていません。
過不足なく介護サービス基盤を整備するには、住民の実態やニーズを詳細に把握し、問題を共有化しなくてはなりません。
保健師や地域包括支援センターの職員をさらに増員し、一軒一軒訪問し、独居や老々介護の実態、健康状態などの調査が必要ではないでしょうか。
また、その調査を基に、地域ケア会議で課題把握、全市的な高齢者施策に反映させることが必要です。
地域包括支援センターまかせではなく、市が中心となって取組むべきです。合わせてお答えください。
本市には、高齢者の居場所として多くの資源があります。「ふれあいプラザ」は、社会参加や交流、介護予防の場として位置付いています。「公民館」は住民のニーズを把握や居場所や生きがいづくりの場です。高齢者が住み慣れた地域で、安心して生活し続けられるには、公共施設の統廃合ではなく、むしろ既存の施設を活かし発展させることです。
また「自助」「互助」の名による福祉サービスの後退ではなく、専門的な行政サービスの拡充が必要です。
そのためには、訪問介護や通所介護の基準は緩和せず、専門家による介護の提供、保健師の増員で保健指導体制の抜本強化、虐待など困難事例に対応するための直営による地域包括支援センターの設置が必要です。
このような、施策を展開することで、真の地域包括ケアシステムとなりますが、ご所見をお示し下さい。
答弁(市長)
まず、介護保険法等の一部を改正する法律案についてであります。
この度の法改正は、介護保険制度の持続可能性を高めるとともに、高齢者の自立支援や重度化防止に向けた取組を進めることで、地域包括ケアシステムの強化を図るものです。
次に、「福山市地域包括ケアシステム推進会議」の今後の取組についてであります。
今年度は、3つの部会を定期的に開催しており、また、3月2日には、3部会の合同会議を開催し、取組状況について、情報共有を図るとともに、次年度に向けた取組について、議論を行ったところです。
次年度につきましては、次期高齢者保健福祉計画策定に向け、盛り込むべき施策について、ご意見をお伺いすることとしております。
次に、地域診断による地域課題の把握についてであります。
地域診断は、地域固有の高齢者などの福祉課題や、医療・福祉資源を把握するもので、高齢者への適切な支援や、効果的な保健事業を実施するために必要なものと考えております。
引き続き、地域包括支援センターと連携する中で、きめ細かな取組みを進めてまいります。
次に、基準緩和型のサービスにつきましては、掃除、洗濯など、必ずしも専門職が関わる必要のない生活援助について、従来の基準を緩和して利用者の状態に応じた多様なサービスを提供するものです。
なお、直営の地域包括支援センターの設置は、現在、考えておりません。