健康保険証の廃止とマイナンバーカードについて(2022年12月議会一般質問)

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。


河村ひろ子市議:健康保険証の廃止とマイナンバーカードについて質問します

岸田政権は、現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化するとしています。カード取得を実質的に強制する極めて強権的な方針です。任意取得の原則を定めるマイナンバー法に違反し、憲法が保障する自己決定権にも反しますが、市長の認識をお示しください。政府に対し、健康保険証廃止の撤回を強く求めることを要望します。ご所見をお示しください。

岸田政権は医療機関等に来年4月からのオンライン資格確認を原則義務化しました。全国保険医団体連合会が10・11月に実施した調査によると、医療機関8681件のうちシステムの運用開始済み24%、準備中55%、導入しない・できない15%です。導入コストが補助金額を上回ったのが54%、運用開始後のトラブル発生が41%と負担が重い一方、導入準備の理由の9割は「必要性ないが義務化されたから」が実態です。導入しない理由は費用面や「情報漏洩、セキュリティ対策が不安」「対応できるスタッフがいない」が半数以上で、愛知保険医協会の調査では「義務化されると廃業せざるを得ない」が12.4%です。地域医療に深刻な影響を及ぼす恐れがありますが、市長の認識と本市の医療機関の導入状況をお答えください。

義務化の撤回、少なくとも実施時期の延長や義務化の免除対象の拡大など抜本的な見直しを政府に求めることを要望します。ご所見をお示しください。

 

マイナンバーカードを保険証として利用するには、医療機関受付で顔認証システムを利用するため、全国民の精細な顔画像が収集されることになります。日本弁護士連合会は、プライバシー権の侵害や国家による市民の監視に使われる危険を指摘しています。

また、政府が運営するオンラインサービスのマイナポータルに登録が必要ですが、マイナポータルにアクセスすれば個人情報の閲覧が可能となり、DVや虐待の被害者は不開示措置の届出を行わなければ加害者に自身の情報を閲覧される可能性があるなど、生命にかかわる情報漏洩の危険も指摘されています。本市は、商業施設に申請会場を設置するなど、カード取得を促進していますが、情報漏洩の危険性を市民に周知しているのか、お答えください。

ポイント付与や人件費、申請会場の設置費用など、マイナンバーカードの申請受付と促進にかかる費用の総額をお示しください。

カードの取得が進まない理由には、個人情報漏洩の心配や政府に対する不信があります。取得したくないという権利は保障されるべきです。福山市は国のポイント給付に上乗せしてカード取得を促進していますが、名目は物価高騰対策であるにもかかわらず、取得しない市民は何も得られません。利益誘導による普及策は任意取得の原則に反するものであり、抜本的な見直しを求めます。ご所見をお示しください。行政サービスが公正・平等に提供されず、不合理な経済的不利益を受ける市民が生じることについて、市長の認識をお示しください。

市長答弁:次に、健康保険証の廃止とマイナンバーカードについてであります。

マイナンバーカードは、これまでと同様、申請に基づき交付するということに変わりありません。

また、国において、カードを持たない人も安心して医療が受けられる手続についても検討されており、保険証の廃止の撤回を求めることは考えていません。

次に、オンライン資格確認の導入の義務化についてであります。

2022年(令和4年)6月から、国が、2022年(令和4年)導入費用の補助金上限額を引き上げたこと、導入により、診療報酬請求手続の軽減など事務コストの削減が図られること、患者の医療情報等を踏まえた診療等により、より良い医療の提供ができることなど、導入のメリットは大きいと考えています。

国に撤回を求めることは考えていません。

なお、本市における導入医療機関の数は、2022年(令和4年)11月20日現在で289施設となっています。

次に、マイナンバーカードのセキュリティについてです。

マイナンバーカードはセキュリティ機能評価の国際標準を認証取得した安全性の高いものです。

広報ふくやま、ホームページ、SNSなどへの掲載に加え、カード申請時などにおいて、その安全性について周知しています。

カードの普及促進にかかる全体の予算額は、今年度実施しているカードの申請会場の設置や出張申請サポート、市民、一人あたり5000ポイントを付与する一人あたり5000ポイ自治体マイナポイントなどを含め、約27億円です。

マイナンバーカードは、デジタル社会の基盤となるインフラであり、誰もが等しく行政サービスを受けるために必要となるものです。

自治体マイナポイント事業は、カードを多くの市民に取得していただくため実施しているものであり、事業を見直す考えはありません。

福山市の個人情報保護制度について(2022年12月議会一般質問)

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。


河村ひろ子市議:個人情報保護条例の廃止による影響について伺います。

本市は、2023年4月施行の個人情報保護法改定に伴い、施行条例を制定し、現行の個人情報保護条例を廃止する方針です。

現在、本市ホームページの「個人情報保護制度の概要」には、制度の目的を「個人情報に関する市民の権利を保障するとともに,個人情報の適正な取扱いを定め,市民の基本的人権を擁護すること」と明記し、「市が個人情報を扱うときの原則」などが掲載されています。条例の廃止によって、これらの目的や原則の表記が変更されるのか、お答えください。

また、市長は昨年度の議会で「本市は個人情報保護条例にもとづき、情報セキュリティポリシーを定め、外部ネットワークとの接続が必要な場合は個人情報保護審議会へ諮り、厳格な個人情報保護対策を講じている」「個人情報を扱うシステムはインターネットから遮断する」との答弁をされています。条例の廃止によって情報セキュリティポリシーや個人情報保護対策に後退があってはなりませんが、見解をお答えください。

個人情報の保護に関する法律施行条例について伺います。

法改定の目的は「個人情報保護とデータ流通の両立」とされますが、利活用を優先して保護を後退させるものとなっています。

地方自治体が保有する個人情報の管理は法定自治事務であり、自治体には法律を自主的に解釈して運用する権利があり、国には地域の特性に応じて実施できるように特別に配慮する義務が課せられています。保護法第5条も「区域の特性に応じて、個人情報の適正な取り扱いを確保するために必要な施策を策定し、実施する」と地方自治体の責務を定めています。国の法律を単に施行するのではなく、地方自治の本旨にもとづき、憲法が定める自己情報コントロール権、基本的人権を擁護するために、これまでの保護規定を後退させず、維持・発展させるよう条例を制定するべきです。

東京都世田谷区は、施行条例とせず、個人情報保護条例の名称を維持しており、条例素案の「目的」には「区民の基本的人権の擁護と信頼される区政の実現を図る」と明記されています。

本市も、施行条例ではなく個人情報保護条例とし、「個人の尊厳に係る基本的人権を擁護する」という現行の目的規定を新たな条例にも明記することを求めますが、ご所見をお示しください。

本市は施行条例で法の規定による事項を定める方針ですが、それだけでは不十分です。条例要配慮個人情報に「性的指向及び性自認」を定めることは評価できますが、保護法は要配慮個人情報の収集や記録の禁止を規定していません。また、個人情報の本人からの直接収集の原則はなく、目的外利用や外部提供についても「相当の理由」や「特別の理由」があれば可能としており、現行の個人情報保護条例の規制より後退します。条例として長年運用してきた保護措置は「地域の特性」に該当すると考えられるため、新たな条例でも規定し、住民の権利利益の侵害を防ぐことを求めます。ご所見をお示しください。

本市は、条例の市議会議決後、来年1月に広報に掲載して市民に周知するとしています。情報の主体であり主権者である市民の意見を反映せずに条例を制定するべきではありません。条例案のパブリックコメントの募集を求めます。ご所見をお示しください。

死者の個人情報について、保護法では個人情報は「生存する個人に関する情報」と定義されました。死者に関する情報の取り扱いについて、「個人情報保護制度とは別の制度として条例で定めることは妨げられない」とされており、死者の尊厳、名誉、人格権を守る目的で独自の条例を制定するべきですが、ご所見をお示しください。

情報の利活用について、経団連が新成長戦略で「死活的に重要なのがデータの活用」としたように、個人情報が利益を生み出す資源とされています。AI(人工知能)によるプロファイリングも可能なデジタル社会だからこそ自己情報コントロール権の確立が重要です。

本市は子育て支援アプリを導入しており、母子健康手帳や子どもの写真、成長、育児などの記録が集積されます。企業の利用規約には、取得した情報を事業目的に利用する場合がある、投稿したコンテンツの利用権を第三者含め企業に許諾する、サービスに法律上の瑕疵がないことを保証せず、損害賠償の責は負わないという趣旨の記述もあります。サービスを利用すると、これらの規約に取消不能な同意をしたものとみなされます。

市として個人情報の取り扱いや注意事項の説明はありませんが、市が連携するアプリだからと、信頼して利用する可能性もあります。

行政として市民の権利利益の侵害が起こらないよう責任を持ち、プロファイリングや営利目的での利活用を規制する契約条件とするべきです。また、利用規約の分かりやすい説明と同意のプロセス、同意の取り消しの権利を保障し、運営状況について市民の立場に立った監視体制をつくることを求めますが、ご所見をお示しください。

市長答弁:河村議員の御質問にお答えいたします。

始めに、個人情報保護制度についてであります。

個人情報を適切に管理するため、個人情報保護審議会に諮問した上で、目的外の利用や外部への提供の制限に関する規程等を策定することとしており、法律の施行により本市の個人情報保護制度が後退するものではありません。

なお、本条例は個人情報保護審議会に諮問しており、パブリックコメントを実施する考えはありません。

次に、死者の個人情報については、不開示情報に当たるという見解が国から示されています。

次に、情報の利活用についてであります。

民間事業者においても、法律に基づき個人の権利利益の保護が求められています。

以上

2022年12月議会 一般質問の日時と項目

日本共産党の一般質問は12月9日(金)です。

ぜひ傍聴にお越しください。

河村ひろ子市議 午前10時から

1 福山市の個人情報保護制度について

①個人情報保護条例の廃止による影響について

②個人情報の保護に関する法律施行条例について

③死者の個人情報について

④情報の利活用について

2 健康保険証の廃止とマイナンバーカードについて

3 民生福祉行政について

①補聴器購入費助成について

②子ども医療費助成制度について

4 介護保険の制度改定について

5 商工行政について

①中小業者支援について

②国保の傷病手当金支給について

③インボイス制度について

6 学校給食の無償化について

7 性と生殖に関する女性の権利について

8 包括的性教育について

みよし剛史市議 午後1時から

1 保育行政について

①待機児童について

②保育士確保策について

③未就園児について

2 幹線道路網整備について

①放射・環状型幹線道路網形成について

②福山西環状線について

③トンネル施工区間の用地補償について

3 地域公共交通計画について

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市議団ニュース2022.11.30

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補聴器購入に公的助成を!署名が提出されました

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 「補聴器の公的助成を求める会」は25日、国の補助制度の対象とならない軽・中度の難聴者への補聴器購入助成を求め、1195筆の署名を提出しました。

 当事者や支援者8人が市役所を訪れ、障害福祉課長ら職員5人と懇談しました。

40代で難聴になった女性は「補聴器がないと仕事が続けられないし、差別も受けた。取り残されたような感じで人に会うのが嫌になる。補聴器は体の一部だが、両耳で50万円、買い替えも必要で車1台分はかかった。払えず困っている人は多いと思う」と市独自の助成を求めました。

 涙ながらに話す参加者もおり、障害福祉課長は「思いを聞かせていただき、苦労も把握した。他市の状況を調査しながら考えていきたい」と答えました。

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河村ひろ子市議が同席しました。

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18歳まで医療費を無料に!署名が提出されました

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 「福山市の子どもの健やかな育ちを願う保護者の会」は11月24日、医療費助成を18歳まで拡大し、一部負担と所得制限をなくすことを求め、1236筆の署名を提出しました。

 保護者ら5人が参加し、市のネウボラ推進部長と課長が応対しました。河村ひろ子市議が同席しました。

 二人の子育て中の女性は「上の子が中学3年生で、手術を2回受けたが、助成があったので家計の負担があまりかからずにすんだ。だれもが必要な医療を受けられるよう、18歳まで助成してほしいとの思いで署名を集めた」と訴えました。

 17歳の子を育てる女性は「子どもが中学生のときは、市の助成が小学生までで対象にならず、窓口負担が2万円になったこともある。今も通院しているが、医療を受ける機会を保障するのが中学3年生までで良いのか」と疑問を投げかけました。

 ネウボラ推進部長は「思いはしっかり受け止める」としながらも、「福山市は、夜間診療や発達支援センターなどに力を入れてきた。18歳まで助成の要望があるのは十分承知しているが、広い枠の中で考えている」との答えにとどまりました。

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市民要求懇談会を開きました

11月22日、12月議会に向けて市民のみなさんの要求や意見をお聞きするため、市民要求懇談会を開きました。

7人の参加があり、精神障害への支援、部活指導員、統一協会、気候危機、大型道路、後期高齢者医療についてなど様々な意見が出されました。

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市議団ニュース2022.11.22

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News20221122

私たちの個人情報はどうなる!?個人情報保護条例を廃止方針

福山市は12月議会で、新たな「個人情報の保護に関する法律施行条例」を提案しました。

施行条例とは、国の法律にあわせて統一ルールに従うものです。これまでの「個人情報保護条例」は廃止する方針です。

福山市が住民の個人情報を守るために独自に定めてきた保護のルールが後退させられる恐れがあります。

自分の情報をどうするかは自分で決める

個人情報保護条例は、各地方自治体が国に先駆け、独自に定めてきました。

福山市でも、個人情報を守ることは個人の尊厳にかかわる基本的人権という立場で条例が運用されてきました。

情報は本人から直接収集し、目的外の利用や外部提供に制限をかけています。差別や偏見、基本的人権の侵害が生じないよう、収集を禁止する情報も定められています。

個人情報保護条例は、憲法にもとづく住民の「自己情報コントロール権」を保障してきたのです。

↓福山市のホームページでの説明

Kojinjouhorule

↓福山市の個人情報保護条例

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福山市個人情報保護条例をダウンロード

福山市個人情報保護条例施行規則をダウンロード

国や財界は情報の保護より利活用を優先

 ところが国は、個人情報の保護よりも情報を利活用することを優先させようとしています。

 そのために、「データ流通の支障となり得る※」自治体の個人情報保護条例をなくし、規制がゆるい国の法律に従わせようとしているのです。※「個人情報保護制度の見直しに関する最終報告」内閣官房

 背景には、経団連が新成長戦略で「死活的に重要なのがデータの活用」としたように、個人情報を儲けのタネにしたい財界の要望もあります。

憲法にもとづき基本的人権と住民自治を守れ

 顔認証や個人の行動履歴など膨大な情報がデータ化されるデジタル社会だからこそ、プライバシー権の強化が求められます。

 福山市の個人情報保護規定を国言いなりに後退させるのか、憲法・地方自治にもとづき維持・前進させるのか、大きな分かれ道です。

情報の主体は私たち住民、声をあげよう!

 市は、12月議会で条例の議決後、来年1月に広報に掲載して市民に周知し、4月に条例を施行するとしています。

 市民の意見を聞くパブリックコメントは募集しない考えです。情報の主体であり、主権者である住民の意見を聞かない姿勢は許されません。

 「基本的人権と住民自治を守れ」の声をあげ、個人情報を守るための運動を広げるときです。

個人情報について学びませんか?

 日本共産党市議団は14日、地方自治問題研究機構主任研究員の久保貴裕氏を講師に迎え、「福山市における個人情報保護の課題について~憲法に基づき、住民の基本的人権と地方自治を守るために」と題する学習会を行いました。

 個人情報保護条例の今後の課題やマイナンバーカード、デジタル田園都市国家構想、子育て支援アプリ、子どもの情報連携など福山市が進めるデジタル政策についての分析です。

◆学習会の資料を提供します。希望される方は、ご連絡ください。

メール info@f-jcp.com

2022年12月議会の日程と市民要求懇談会のお知らせ

12月議会に向けて、11月22日(火)午後3時から日本共産党市議団の市民要求懇談会を開催します。

市役所議会棟3階第5委員会室。2階の受付までお越しください。

(マスク着用でお願いします)

12月議会日程は、福山市議会ホームページ(下記リンク先)でご確認ください

https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/soshiki/gikai/nittei.html

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