保育所に入れない「待機児童」の定義を国が変えたため、全国的には待機児童ゼロの自治体が8割を超えました。
それでも、福山市では待機児童が今年度は3人おり、4年連続で解消できていません。希望した認可保育所に入れず認可外施設に入った場合や、家や職場に近いなど特定の保育所を希望した場合など、待機児童に定義されない「隠れ待機児童」も多数います。
みよし剛史市議の質問で、今年4月に入所を申し込んだ1万2046人のうち入所できなかったのは204人、特定の保育所を希望したのは105人、兄弟姉妹が別の保育所に通う世帯は158に上ることが分かりました。

要因「保育士不足」
待機児童発生の要因について、市長は「主に保育士不足」と認めました。
みよし市議は、支援策を充実させて保育士を増やした神戸市が待機児童を解消したことを紹介。福山市でも抜本的な保育士確保策をとるよう求め、「検討する」と前向きな答弁を得ました。
以下は、一般質問の第一質問全文と市長の答弁です。再質問は、福山市議会ホームページの動画や会議録をご覧ください。https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/gikai/
保育行政について
みよし剛史市議:待機児童について伺います。
厚労省が公表した本年4月1日時点での全国の待機児童数は2944人で過去最少となり、1489自治体が待機児童ゼロでした。しかし、福山市では今年度も3人発生し、4年連続で解消には至っていません。3人はいずれも西部区域の1歳児であり、その内1人は現在でも解消されていませんが、2021年度「福山市ネウボラ事業計画」実施状況によると、2022年度の3号認定こどもにおける供給割合は、0歳児で107.4%、1・2歳児で109.2%としており、見込み量に対する確保策は充足しているはずです。待機児発生の要因と現在も解消していない要因、今後の対応についてお示し下さい。
本年5月時点での0歳児の入所児童数は前年度比で43人増加しており、当初の見込みを大きく上回っていることが考えられますが、この要因と年度途中の入所希望者への影響についてお答えください。また、この時点での6区域ごとの0歳児と1・2歳児の定員に対する充足率をそれぞれお答えください。
11月21日の民生福祉委員会において10月時点における待機児童について質問したところ、10月時点での待機児童数調査は地方分権改革の提案によって2021年度以降は調査を実施していないとのことでしたが、待機児童が解消していない中で調査を行わないことは保育実施責任を果たしているとは言えません。改めてお示し下さい。
本来待機児童は入所を申請したものの、希望の入所ができなかった件数であるべきですが、厚労省は認可外保育施設等の利用者や特定の保育園等を希望している者等は待機児童から除いており、この部分の合計が潜在的待機児童であり全国で約8万人存在します。
本市における4月時点での入所及び継続利用申請者数、そのうち入所・継続利用に至らなかった児童数、特定の保育施設を希望する等の理由で入所できなかった児童数、兄弟別々の保育所等に通っている世帯数についてお答えください。
市長(答弁)始めに、保育行政についてであります。
待機児童が発生する要因は、主に保育士不足によるものであります。
また、年によって、特定の地域に同じ年齢の児童が集中する場合があり、第一希望以外でも受入れ可能な施設がなくなることがあり、この度の残る1人が解消しないのは、そのためであります。
次に、5月時点での0歳児の入所児童数が増加した要因ですが、これは、4月1日の入所枠を拡充したためであり、その分、年度中途の入所に影響が生ずることとなります。
次に、市内6区域ごとの0歳児と1・2歳児の定員に対する充足率は、中部では0歳児が43%と1・2歳児が85%であります。
以下同様に、東部は38%と94%、北部41%と79%、神辺48%と95%、西南・南部32%と83%、そして、西部では39%と79%となっています。
なお、特に0歳児については、育休予約での入所内定者が多く、年度末に向けて充足率は高くなります。
次に、10月時点の待機児童数調査については、調査業務に対する効果が低いことから、国において廃止されたものであります。
次に、4月時点での継続利用者も含めた入所申込者数は12,046人であり、そのうち入所できなかった児童は、204人であります。
入所できなかった児童の中で特定の保育所等を希望している児童は、105人です。兄弟姉妹が別施設に入所している世帯は、158世帯であります。
みよし剛史市議:保育士確保策について伺います。
希望入所や年度途中の入所に応えるためには保育士確保と定着を促す施策が重要と考えますが認識をお示し下さい。2019年度より保育士確保のため3つの事業を行っていますが、これまでの主な実績と評価・課題、次年度に向けた保育士確保策の検討状況についてお示し下さい。定着しない要因は低い処遇と非正規雇用の割合が高いことによるものと考えます。公定価格が十分でない中で、市として正規職員雇用への補助や処遇改善を行うことを求めます。ご所見をお示し下さい。
市長(答弁)次に、保育士確保策についてであります。
保育士確保等に向けては、これまで、「保育補助者雇上強化事業」などに取り組んでおり、今年度新たに「保育士募集フェスタ」を開催しました。
その結果、本年10月末時点で、保育補助者115人、保育士6人の確保につながっています。
今後も、これまでの事業を検証する中で、保育士確保につながる施策について検討していきます。
保育士等の処遇改善については、これまでも本市独自に職員給与に加算措置を行っています。また、国の制度に基づく賃金改善も行っています。
みよし剛史市議:未就園児について伺います。
厚労省は保育所等施設に入所していない未就園児は全国で182万人であると公表しましたが、就学前児童が死亡するなどした過去15年間の虐待事案のうち60%以上が未就園児であったことが明らかとなり、保育所等施設は子育て支援とともに家庭の孤立を防ぎ、虐待の未然防止の役目も果たしています。
NPO法人フローレンスが行った調査では、乳児の未就園児を抱える親の半数以上が孤独を感じているとの結果が示され、この家庭への支援の重要性も指摘されていますが、未就園児のうち約97%を占める0~2歳児は、保育の必要性が認められなければ入所できません。
保育の必要性は親の就労状況を点数化して評価され、点数が高いほど入所の優先順位が高くなります。特に福山市は育休明けの予約制度もあるため正規雇用者の入所は優先度が高く、非正規雇用者や自営業者との入所条件には大きな壁が生じており、未就園児には親の就労条件によって入所を諦めているケースや、保護者自身の問題で就労できずに家庭で子どもを抱えているケースも考えられます。
本市における未就園児数と、そのうち3~5歳児の人数をお示し下さい。また、子ども家庭総合支援拠点設置以降に発生した児童虐待のうち未就園児であった件数、虐待・DVのおそれがある等の理由で入所した児童数についてお答えください。
来年4月に発足するこども家庭庁は、未就園の子や親の支援を重要政策に位置付け、「就学前の全ての子どもの育ちの保障を担う」ことを基本方針とし、保育園の空き定員の活用で未就園児を預かるモデル事業の実施を検討していますが、保育の必要性に関わりなく保育所利用することの意義について、本市の認識をお示し下さい。
全ての子どもの育ちの保障のためには、就労の状況に関わらず支援を必要とする全ての家庭の入所希望に応えることが必要です。本市の幼稚園は就労に関わらず入園でき、低廉な保育料で預かり保育も実施しているため高まる保育需要への対応が期待できますが、2024年度までに耐震性の無い3園を休園する方針です。施設の休止・廃止と集約化の方針を見直し、既存の施設を活かした施設整備を求めます。ご所見をお示し下さい。
市長(答弁)次に、未就園児についてであります。
認可外施設を含め、保育施設に入所していない児童は、本年4月時点で約5,700人であります。
そのうち、3歳児から5歳児までは約270人と推定していますが、その中には療育施設等を利用する児童も含まれています。
昨年度から今年8月末までの間、虐待を受けた児童のうち未就園であった児童は60人で、
そのうち入所した児童は50人です。
DVでの入所については、2人から相談があり、2人とも入所しました。
また、保育施設については、既に、地域における子育て支援の拠点として未就園児とその家庭が孤立しないよう、保育の必要性に関わらず子育て家庭に開放しています。
幼稚園整備については、2015年度(平成27年度)に策定した「福山市公立就学前教育・保育施設の再整備計画」に基づき、計画的に進めています。
以上
「旧内海小学校の施設を残し有効活用を求める請願書」が、内海町住民ら528人分の署名とともに福山市議会に提出されました。
日本共産党市議団は請願の趣旨に賛同し、みよし剛史市議が紹介議員として議会での採択を求めて趣旨説明を行いました。
請願の内容は、旧内海小学校の校舎、体育館、給食棟、運動場を使用できるように保存し、福山市が維持管理することや、施設を活用して学習、運動、給食、住民の交流ができる場などを設置することです。
福山市が強行した学校統廃合によって、内海小学校を含む7小中学校が昨年度末で廃止され、内海町内からは学校がすべてなくなりました。
市は、内海小学校のすべての施設の解体・売却の検討をしています。

みよし市議は趣旨説明で「学校施設が次々に無くなっていく光景は地域住民にとって耐えがたい。特に、給食調理場の設置は内海町が福山市へ編入される際に地域住民からの強い要望で実現したものであり、内海小学校は住民が合併後の豊かな生活環境への改善に期待を寄せ、住みよい町づくりに一丸となって尽力してきた象徴」と指摘し、請願とともに提出された住民アンケートでは90%が校舎の取り壊しを望んでいないとの結果を紹介しました。
請願は総務委員会で審査されましたが、日本共産党の高木たけし市議以外の議員は12月議会で採決せずに継続審査とすることを主張し、3月議会への持ち越しとなりました。
日本共産党市議団は、住民合意のない学校統廃合に一貫して反対してきました。旧学校施設の活用についても、地域住民の要望が何より尊重されなければならないと考えます。
住民の願いを届けるために、引き続き力を尽くします。

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。
河村ひろ子市議:包括的性教育について質問します
予期せぬ妊娠を防ぎ、互いの性を尊重する人間関係を築くため包括的性教育の実施が重要です。
包括的性教育とは、科学的な根拠に基づき、人権・ジェンダーの視点にたって、子ども・若者の発達・年齢に適した知識、態度、スキルの獲得を可能とする内容です。
ところが、日本では性教育が極めて不十分で、子ども達は人間の生理や生殖、避妊についての科学的な知識も、互いを尊重し合う人間関係を築く方法も、自分の心や体を傷つけるものから身を守るすべも十分に学べないままです。
コロナ禍でDVや性暴力が増え、中高生からは望まぬ妊娠相談が急増していると報じられていますが、本市には相談窓口があるのでしょうか、お答え下さい。妊娠を誰にも相談できず、若い女性が一人で出産し、乳児を遺棄するといった痛ましいニュースもありました。こうした事を防ぐためには性交の具体的な場面や仕組みを知り、性的自己決定の能力を高めることが欠かせません。そのため、全ての子どもたちが受けることができる学校での性教育が重要です。
しかし、学習指導要領には、生徒が妊娠や受精について学ぶ際に性交は取り扱わないとする「はどめ規定」があります。授精の前提となる性交を教えずに性暴力や性被害はどういうものなのか、子ども達は理解できないと思いますが、はどめ規定による性教育の影響についてお答え下さい。学校で性交を学ばない子ども達は、どこで・どのように知識を得るのでしょうか、お答え下さい。学習指導要領はあくまでも最低基準であり、総則では学校において特に必要がある場合は、学習指導要領に示していない内容を加えて指導することができるとしています。本市も性交を含む包括的性教育を行うことを求めます。ご所見をお示し下さい。
この教育をどの子も受けられることは、人間が人間として育つために最も重要なことの一つです。学習指導要領における「はどめ規定」の撤廃を国に要望する事を求めます。また、専門家と連携し、職員向けの専門的・継続的な学びの機会の拡充に向けて、ガイドラインの作成など、市教育委員会として取り組むことを求めます。ご所見をお示し下さい。
副市長答弁(教育長欠席のため)次に、望まぬ妊娠相談については学校や「にんしんSOS広島」、「あのね」等において、妊娠・出産・子育ての不安や悩みをしっかりと受け止め、必要に応じ、子ども家庭総合支援拠点と共に支援しております。
次に、学校における相談体制についてです。
性や妊娠に関する内容など多様な相談に応じられるよう、複数の教職員で構成する「教育相談窓口」を設置し、児童生徒が相談しやすい人や場所を選べるようにしています。
子どもたちには、学習指導要領に基づき、発達段階に応じた性教育を行っていますが、妊娠の経過は学習しません。
学校で、性交について取り扱わないことによる子どもたちへの影響や性交の知識の獲得方法については、把握していません。
各学校は、性暴力の加害者や被害者、傍観者にならないよう、「生命(いのち)の安全教育」を教育課程に位置づけ、取り組んでいます。
「はどめ規定」の撤廃を国に求めることや包括的性教育における福山市独自のガイドラインの作成は考えていません。
以上
12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。
河村ひろ子市議:性と生殖に関する女性の権利について質問します
リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)は、子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決める基本的人権です。ところが、日本はこの権利の保障が大きく遅れています。例えば、中絶は母体保護法によって配偶者の同意が必要です。
こうした国は世界で11カ国・地域だけです。中絶方法も、世界では80カ国以上で経口中絶薬が使用されていますが、日本は未だ未承認で女性の心身に負担の大きい掻爬法(そうはほう)が主流です。WHOは「妊娠初期の9週までは中絶薬を、12週から14週までは真空吸引法または中絶薬を推奨」しています。
中絶薬であるミフェプリストンとミソプロストールは、効果も安全性も高い医薬品として、医師だけでなく助産師や保健師が処方する国もあります。日本もようやく年内に薬事承認される見通しですが、費用や処方方法がどうなるか注視されています。
また、性交後72時間以内に服薬が必要な緊急避妊薬(アフターピル)は約90カ国で処方箋なく薬局入手できます。日本は医師の診察・処方箋がないと入手できず、間に合わない事態が起きています。
女性の権利をいっさい認めない明治時代につくられた中絶を認めない「堕胎罪」は日本国憲法が保障する個人の尊厳と相いれません。
女性差別撤廃条約は16条で女性の出産の自己決定権を定め、2条で女性差別的な刑法の廃止を求めています。女性の権利を保障されていない現状について市長の認識をお示し下さい。堕胎罪の廃止や中絶薬やアフターピルを安全に安価に入手できるよう国に要望する事を求めます。お答え下さい。
市長答弁:次に、性と生殖に関する女性の権利についてであります。
まず、堕胎罪を設けている法の趣旨は、胎児の生命や身体の安全の保護であると認識しています。
次に、堕胎罪の廃止や中絶薬などの取り扱いについては、国において議論されるべきことであり、要望は考えていません。
以上
12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。
河村ひろ子市議:学校給食の無償化について質問します
急激な物価高騰が保護者の家計を圧迫している下で、給食費無償化の願いがかつてなく広がっています。本市の年間給食費は小学校約4万円、中学校約5万円と、義務教育にかかる費用の中でも重い負担です。給食費の保護者負担について市長の見解をお聞かせ下さい。また、子育て支援の推進と憲法26条が謳う義務教育無償化の理想を実現するために本市においてどのような取組が必要と考えているのでしょうか、お答え下さい。
本年6月の本会議で教育長は「無償化は、多くが人口規模1万人未満の自治体で定住促進策などとして取り組まれていると認識している」と答弁されました。しかし、人口46万人の東京都葛飾区では来年度から小中学校・特別支援学校の無償化を実施します。人口約27万人の青森市は本年10月から小中学校ともに無償化が始まり、人口30万人の明石市では中学校の給食無償化など、都市部においても取組みが進んでいます。我が党の自治体局の調査によると、小中学校とも無償化した自治体数は、2017年の76から256へと3倍以上になりました。各自治体の市長の英断によって、無償化が取り組まれていますが、市長はどのような感想をお持ちでしょうか、お答え下さい。また給食費無償化の意義についてどのように考えているのか、お答え下さい。
憲法が定める義務教育無償を国の責任で実現することは当然です。それと同時に自治体の役目も重要です。
給食費を補助することを学校給食法は否定しておらず、自治体の判断で実施できると文科省も認めています。美味しく栄養のある食事を、子ども達にお腹いっぱい食べてもらい、市民みんなで子育てをしていく、その具体的な方法が学校給食です。学校給食の無償化を一日でも早く実施するよう改めて求めます。ご所見をお示し下さい。
副市長答弁(教育長欠席のため)始めに、給食費の保護者負担に対する見解、本市の取組についてです。
本市では、前回の消費税率改定に際しても、給食費を据え置くなど、8年にわたり保護者の負担が増えないよう配慮しています。
長引く物価高騰の中、給食費の値上げをする自治体も見られますが、本市では負担を保護者に転嫁することなく対応しています。今後も、成長期にある児童生徒に、安心安全で、おいしい給食の安定的な提供に努めてまいります。
他自治体の無償化の取組は、子育て世帯への支援などとして、実施しているものと認識しています。
憲法が定める義務教育の無償化は、「授業料を徴収しないと解釈するのが相当である」との最高裁判例があり、給食費は、学校給食法において、「給食のための基本的な費用は、学校の設置者が負担し、食材費等の費用は、保護者が負担すること」となっていることから、無償化は考えていません。
以上
12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。
河村ひろ子市議:商工行政について
中小業者支援について伺います。
東京商工リサーチの調べでは、10月の全国の企業倒産件数は596件で、4月から7カ月連続で前年同月を上回っており、全て中小企業の倒産です。中小企業の約3割が過剰債務感を訴えています。コロナ対応融資の返済が始まっている中で、年末の資金繰りが逼迫すれば、さらに倒産が増加しかねません。
9月9日に金融庁と中小企業庁等との連名で、金融機関に対し条件変更などへの柔軟な対応や、貸し渋りを行わないなど、資金繰り相談・支援の徹底を要請していますが、関係者まかせで小規模事業者は事実上の対象外となっています。市として金融機関に対して小規模事業者も含めた支援を要請し、借り換えや条件変更、新規融資に対応する利子補給と信用保証料補助を行うことを求めます。ご所見をお示し下さい。
岸田政権が10月28日に閣議決定した総合経済対策には直接支援策は盛り込まれず、事業再構築補助金の活用を強調していますが、業態転換や事業再編を促すものでありコロナ危機で過剰債務を抱えた企業を支える制度ではありません。広島県の補正予算による事業者向け支援策においても、設備・研究開発投資や販路拡大に対する補助のみです。本市は物価高騰への対策について、国・県の施策の動向も踏まえ、市独自の支援を対応するとの方針を説明していましたが、この度の補正予算における支援策検討の経過についてご説明下さい。
11月11日の福山民主商工会による要望書提出において、同会が8月に取り組んだ市内事業者の営業動向調査の結果が報告されました。同調査では市内718事業者が回答し、その内の77%が売上の減少、43%が仕入れの物価が20%以上上昇したと答え、そのうち上昇分すべてを価格に上乗せできているのは7%しかいないという結果でした。参加者からは設備の補助金ではなく、固定費への補助や給付などの直接支援が強く求められています。事業者の生の声と調査結果についての受け止めをお答えください。市独自の直接支援を早急に実施するべきです。ご所見をお示し下さい。
市長答弁:次に、商工行政についてであります。
まず、中小企業融資について、本市から金融機関への資金の預託を行うことで利息の低減を図っています。
また、日本政策金融公庫の小規模事業者経営改善資金融資(マル経融資)及び新型コロナウイルス対策マル経融資に対して利子補給を実施しています。
さらに、信用保証料についても広島県信用保証協会の事務費の一部を負担することで、保証料率の軽減を図っています。
本市では、物価高騰対策として農水産業や交通事業者に対する燃油費補助や中小事業者に対する生産性向上につながるシステムや省エネルギー機器の導入支援など、市独自の支援を継続的に行っています。
現在も多くの事業者が、物価高騰などの影響を受けていると認識しています。
引き続き、国や県の支援情報をしっかりと事業者に届けるとともに、事業者ニーズを把握し、企業の成長や事業継続につながる支援策を機動的に実施してまいります。
以上
河村ひろ子市議:国保の傷病手当金支給について伺います。
小規模事業者の多くは国民健康保険に加入しています。コロナウイルス感染や感染疑いによって休業した際、傷病手当金の支給制度がありますが、対象は被雇用者に限られており事業主やフリーランスには何も支給されません。そのため、自治体が独自に事業主向けの傷病手当金や見舞金の支給制度を設けることが広がっています。
人口72万人以上の相模原市でも9000万円の補正予算で新型コロナウイルスに感染した個人事業主に1人当たり7万円の傷病見舞金を支給することを決定しました。
本市の2021年度末、国保基金残高約20億円を活用すれば、本市においても十分に実施は可能です。傷病手当金の対象を事業主にも拡大すること、もしくは独自の傷病見舞金の制度を創設することを求めます。ご所見をお示し下さい。
市長答弁:次に、国保加入者に対する傷病手当金の支給対象者の拡大については、全国市長会を通じ、国に対して要望しており、本市独自の制度の創設は考えていません。
以上
河村ひろ子市議:インボイス制度について伺います。
来年10月からのインボイス制度の導入は年間売上1000万円以下の小規模事業者・フリーランスへの実質的な消費税増税であり、各業界で大きな反対の声が上がっています。
クラウドソーシング会社「ランサーズ」が昨年11月に公表した実態調査によると、フリーランス人口は約1577万人で、コロナ禍でさらに個人での働き方を選ぶ人が増えていますが、2020年に内閣が公表した調査結果によると、フリーランスとしての所得が「1000万円以上」はわずか4%でほとんどが免税事業者と推測されます。
また、全体の7割が主に事業者や消費者から仕事を請け負っている者であり、今後インボイス発行のために課税業者になる事が迫られます。
本市における現時点でのインボイス登録事業者数についてお示し下さい。これまで市内経済への影響を調査するよう求めていますが、現在の調査状況をお示し下さい。
本年6月の一般質問では、市の入札に参加する事業者が免税事業者かどうか把握していないとのことでしたが、特別会計や公営企業会計には消費税の申告義務があるため対応が必要です。昨年度の特別・公営企業会計における免税事業者との取引件数についてお答えください。インボイスが発行できないという理由で免税事業者が市の取引から除外されることがあってはならないと考えますが、市としての考えと対応についてお示し下さい。
政府は小規模事業者の消費税納付について3年間の猶予措置を検討していますが、負担を考慮した対応であればインボイスは中止すべきであり、市として国に求めるべきです。ご所見をお示し下さい。
市長答弁:次に、インボイス制度についてであります。
福山税務署管内の本年11月15日時点の登録事業者数は、5935件と聞いています。
市内経済に与える影響については、事業者が置かれている状況や制度導入後の各事業者の対応が様々であるため、市として、その影響を把握することは困難であります。
また、昨年度の特別・公営企業会計における免税事業者との取引件数は、消費税の課税事業者か、免税事業者かについてを業者登録の要件としていないため、把握していません。
また、単に免税事業者であることのみをもって市との取引から除外することは考えていません。
なお、インボイス制度は、複数税率の下で、適正な課税の実現を図るものと認識しており、国に中止を求める考えはありません。
12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。
河村ひろ子市議:介護保険の制度改定について質問します
厚生労働省の審議会は再来年度の介護保険の制度改定に向け議論を本格化させています。その内容は、①要介護1・2の人を「軽度者」として保険給付から外し、市町村が運営する総合事業へ移行させる ②サービス利用料2割・3割負担の対象者の拡大 ③現在40歳から納めている介護保険料の納付年齢の引き下げと、原則65歳からのサービス利用開始年齢の引上げ ④ケアマネジャーが作成するケアプランの有料化、⑤老人保健施設など多床室の有料化 ⑥福祉用具貸与制度を購入へ転換などです。いずれも国民に耐えがたい負担増と給付削減を押しつける中身です。これが実施されれば、サービス中断や利用控えが起き、高齢者の重度化、家族の介護離職や介護心中など深刻な問題をもたらしかねません。高齢者や家族、介護事業所へどのような影響を及ぼすと考えられるか、市長の認識をお示し下さい。
国は要介護1・2の人を介護給付から外し、自治体が行う日常生活支援総合事業へ移行するとしていますが、要介護1・2の人が、介護が必要になった原因のトップは認知症で、2~3割を占めます。認知症の人や家族には専門的なケアが欠かせません。ところが、自治体が行う総合事業は、全国一律の運営基準で有資格者がサービスを提供する保険給付とは異なり、無資格の住民やボランティアを担い手としたり、低い報酬を設定したり市町村が施設基準や報酬を独自に決めることが可能です。これでは専門的なケアは受けられません。
政府は認知症施策推進大綱で「早期発見・早期対応、発症後の進行を遅らせる取組みの推進」を掲げていますが、今回の改悪内容はこの理念にも反し、認知症高齢者の状態悪化を招きかねませんが、市長の見解をお聞かせ下さい。
10月21日、全国老人福祉施設協議会や全国老人保健施設協会、日本ホームペルパー協会など8団体が、国に対し総合事業への移行に反対する要望書を提出しました。11月24日には「認知症の人と家族の会」が、改悪反対の8万筆の署名を提出するなど、介護業界あげて猛反対しています。
高齢者は6月から年金が切り下げられ、10月から75歳以上の医療窓口負担が2倍になるなど、これまでになく生活の苦しさが増しています。制度改悪は絶対に行うべきではありません。国に対し、負担増や給付削減の改定を行わない事を強く要望する事を求めます。ご所見をお示し下さい。
市長答弁:次に、介護保険の制度改定についてであります。
介護保険制度は、給付と負担のバランスを図りつつ、制度の持続可能性を高めていくことが重要であると考えます。
なお、制度改正については、利用者の自立支援等の観点や自治体をはじめ関係者の意見を踏まえた持続可能な介護保険制度となるよう、全国市長会を通じ、国に要望しています。
12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。
河村ひろ子市議:子ども医療費助成制度について質問します。
厚生労働省の調査によると、2009年当時、二つの自治体だけだった「18歳まで」の通院時の助成は21年4月現在、全国の市区町村の約半数817自治体まで広がりました。
「中学卒業」まで合せると、通院は94.7%、入院は97.8%、医療費無料は、通院・入院ともに約7割、所得制限なしは約9割にのぼります。
尾道市は本年10月に対象年齢を18歳まで引上げ、市民から大変喜ばれているとの事です。連携中枢都市6市2町の中で入通院ともに中学生までに留まっているのは、福山市・三原市・府中市の3市のみとなりましたが、この現状の受け止めについてお答え下さい。
お金の心配をせず安心して医療にかかれることは、子どもの命や健康を守ることに繋がります。子ども医療費助成制度は重要な役目を果たしており、本来、国の制度で行うべきです。全国知事会や全国市長会は、全国一律の子どもの医療費助成制度の創設を国に再三要望していますが、未だ実施されていません。
地方自治体は継続して国に要望しつつも、住民福祉の増進の立場で子育て支援の充実に取り組まなくてはなりません。しかし、広島県の子ども医療費助成の対象年齢は就学前までで18年間も変わっていません。県制度が拡充されれば、対象年齢の引上げ・所得制限や一部負担金の廃止などが可能になると考えます。広島県に対して制度の拡充を再度要望することを求めます。ご所見をお示し下さい。
11月24日、「福山市の子どもの健やかな育ちを願う保護者の会」が、18歳までの医療費の無料化と所得制限をなくすことを求める要望署名1236筆を添えて、市長に提出しましたが、署名の受け止めをお答え下さい。
ある保護者は「17歳になった我が子は原因不明の発熱のため1回の検査に2万円もかかった。不登校もありカウンセリングも受けていて治療は欠かせないからこそ、医療費負担を軽くして欲しい」と、訴えられました。
高校生にもなれば、風邪などの軽微な疾患だけでなく歯科・眼科・アレルギー・精神科など慢性疾患や継続的な治療を要するケースもあります。安心して治療を受けられる環境整備に医療費助成は重要な役目を果たしていると考えますが、当制度の意義についてご所見をお示し下さい。
18歳までの医療費無料化を求めます。ご所見をお示し下さい。
市長答弁:次に、子ども医療費助成制度についてであります。
本制度は、病気が重症化しやすい子どもに対し、疾病の早期発見と早期治療を促進し健やかな育成を図ることを目的として実施するものであります。
子どもの医療費助成は、本来、国が責任を持って制度を構築すべきものと考えています。
引き続き全国一律の制度として創設するよう国に要望してまいります。
18歳まで無償化することについては考えておりません。
以上
12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。
河村ひろ子市議:補聴器購入費助成について質問します
加齢性難聴は50歳頃から始まり、60歳代後半では3人に1人、75歳以上になると7割以上が発症すると言われています。国立長寿医療研究センターによると、日常生活に支障をきたす難聴者の割合は、70歳代以上では男性5人に1人、女性10人に1人との事です。本市の人口に当てはめると、男性約9000人、女性約6000人で、男女合せると人口比3.2%にもなりますが、この数字の受け止めについてお答え下さい。
昨年6月本会議で市長は「加齢性難聴は認知症の危険因子の一つであり、その予防に取り組むことは重要」との認識を示されましたが、補聴器を装用する重要性をどのように考えているのかお答え下さい。
国の補聴器購入助成対象は、両耳の平均聴力が70㏈以上の聴覚障害者のみで助成対象が狭く、また補聴器は高額なため簡単に購入できません。そのため日本の補聴器の普及率はわずか13.5%で欧米諸国30~40%に比べ非常に低い水準です。補聴器にアクセスしにくい現状を一刻も早く解消するべきと考えますが、市長のご所見をお示し下さい。
11月25日、「補聴器の公的助成を求める会」が「難聴者の補聴器購入に公的助成を求める要望署名」1195筆を添えて市長に提出しました。年齢制限や所得制限を設けず、両耳の聴力が30㏈以上の身体障害者手帳の交付対象とならない人への購入助成を求めています。
参加者からは「40歳代に聴力が落ちたが仕事をするため片耳25万円もする補聴器を購入せざるをえなかった」「補聴器は体の一部」「話しが聞き取りにくいため職場や地域で差別的な事を言われ、それが一番辛かった」と訴えられました。
難聴になると、仕事が困難になったり、差別的な扱いを受けたり、交通事故や転倒のリスクが高まるなど、単に「聞こえ」の問題だけでなく、生活のあらゆる面に影響するとの事です。参加者の訴えを市長はどのように受け止められたでしょうか、お答え下さい。
全日本年金者組合大阪本部の調査によると、自治体による補聴器購入助成制度の実施は、本年10月末時点で114市区町村となり、前年から約3倍と急速に広がっていることが分かりました。
東京都港区では4月から、上限13万7000円、住民税課税の人にはその2分1の6万8500円を助成し、予想以上の申し込みで補正予算を組みながら対応しているとの事です。東京都江東区では耳かけ型と箱形から選べる現物支給を購入助成と合せて行っています。新潟県上越市、福岡県田川市では全年齢を助成対象としています。このように自治体の取組みが全国で展開されていますが、市長の感想をお聞かせ下さい。
本市は、国の補装具費支給制度の拡充を政府に要望する取組みに留まっていますが、聴力に障がいのある人のみに補聴器購入の負担を強いるのではなく、聞こえる人、聞こえない人同士がコミュニケーションとりやすい環境にするために社会全体が支える仕組として公的助成を行う社会的意義があるのではないでしょうか。
本市独自の購入助成制度の創設を求めます。ご所見をお示し下さい。
市長答弁:次に、補聴器購入費助成についてであります。
今後、高齢者人口の増加に伴い、難聴で悩む方も増えていくものと予想されます。
補聴器は生活の質の維持だけでなく、認知症予防にも効果があるといわれています。このため、現段階では、身体障がい者手帳交付者や手帳交付者以外の18歳未満の軽度・中等度の難聴児に対して助成が行われています。
更に、補聴器購入の補助制度拡充について現在、国に要望しています。
なお、市独自の新たな制度の創設は考えておりません。
以上