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2023年度の福山市一般会計予算について、日本共産党みよし剛史市議の討論

議第1号 令和5年度福山市一般会計予算について,日本共産党三好剛史が討論を行います。

 

国の当初予算は、軍事費10兆1680億円以上が計上され、一般会計総額の増加分のほとんどが軍事費という異常な大軍拡予算になっています。このあおりを受けて、新型コロナ対策や防災減災・国土強靭化、中小企業対策、農林水産関係の予算は削減され、社会保障の自然増予算も1500億円削減されており、暮らしの予算が犠牲となっています。

 

 新型コロナの5類化による公的責任の後退が懸念され、41年ぶりの物価高騰が直撃するなか,市民のいのちとくらしを守る地方自治体の役割の発揮が、福山市にはますます求められますが、福山港の整備、福山道路など幹線道路網の整備、次期ごみ処理施設整備など、令和4年度3月補正予算も含めれば、投資的経費は過去10年で最大となる一方、「特例枠」とされる「新型コロナウイルス感染症対策、原油価格・物価高騰対策」は約18億円にとどまります。地方自治法の本旨に基づき,福祉増進最優先の予算編成を行うべきです。

 

 総務費では,市が所有する公共施設全体の維持管理費のうち23%にもあたる膨大な維持管理業務を民間事業者に包括委託することは、市職員の施設管理に関する知識と経験が失われるばかりでなく、大きな人員削減につながる恐れがあるため、行うべきではありません。

 自動運転の実装に向けた調査は、未だに確立されていない「レベル4」の自動運転を公道で実証実験するためのものであり、市民の安全が確保される保証はないため、導入に向けた拙速な取組は行うべきではありません。

 会計年度任用職員制度については、行政がワーキングプアとジェンダー不平等を生み出している状況です。給与は物価高騰を考慮して大幅に引き上げ、最低でも時間あたり1500円以上の水準に改め、長期雇用状態の職員を正規採用する仕組みを導入するべきです。

 マイナンバーカードの普及は、マイナポイント取得による動機が作用しているため、活用実態のないカードの維持経費に多額の市税が使われている可能性があります。さらにその推進に税を導入することは政策的な意義がありません。

 

 民生費では,子どもの医療費助成制度は所得制限が撤廃されましたが、対象年齢を中学校卒業までとしているのは,県東部では本市のみとなる見込みであり,18歳までの完全無料化を実現するべきです。

保育士確保事業においては、資格取得支援、住居借上支援は新規採用を進めるために内容を拡充して継続するべきであり、マッチング事業は体制強化をするべきです。

 敬老行事における対象年齢や記念品の見直しについては、実質的な事業の担い手となっている高齢者自身の負担軽減の判断が作用している可能性があり、全世代的な意見の反映が必要です。

 福祉タクシー助成の対象者には精神障がい者手帳2級所持者は対象とされていませんが、移動に困難さを抱えているケースもあるため、対象を拡充するべきです。

生活保護の申請をためらわせ,市民の収入・財産・負債の情報まで求める扶養照会は行うべきではありません。また,部落解放同盟福山市協議会への団体補助金は廃止するべきです。

衛生費では,障害者が全身麻酔を伴う歯科治療を市外で受診する場合の交通費補助について、初診は補助の対象とされていませんが、市内に対応する医療機関が無い状況であり、初診も対象とするべきです。

 

 農林水産業費では,農地の集約化と農業法人誘致など、生産効率が求められる農業振興では化学農薬・肥料の低減は実現できないため、小規模農業による有機農業振興を中心に、無農薬野菜の学校給食での活用などによって農産物の付加価値を高める施策に転換するべきです。

森林環境譲与税を活用した保全事業は、急傾斜の山林の間伐が行われていますが、土砂災害の防止が目的であるなら、まずは近隣の民家に対する崩土対策を行うべきです。

 

商工費では、地域経済の循環強化のために、販路拡大・人材確保に加え、適正な取引の推進も掲げる中小企業振興基本条例を制定すべきです。

 

 土木費では,LED防犯灯の更新について、自治会加入率が低下している中で、今後の更新費の維持が困難となるケースも予想されるため、灯具代の補助制度も検討すべきです。

都市公園における官民連携推進事業では、維持管理・運営も含めた事業提案を民間事業者から募っていますが、子どもの利用が多い公園の維持管理業務は直接行政が行うべきです。

 

 教育費では,旧内海小学校の解体費が計上されていますが、地元住民からは施設の維持を求める強い要望が出ており、住民との合意形成がなされていないまま、解体することは認められません。

学校給食の調理において、小学校3校の自校調理を取りやめ、2校が複数校へ配送を行う方式を試行的に実施することは、今後、食育の中心的役割を担う調理員の削減につながることが懸念され、学校規模の大小にかかわらず、自校方式を貫き、給食の無償化を実現するべきです。

給食調理場の空調整備について、室温37度以上の調理場を重点的に取り組むとのことですが、事務所衛生基準規則は労働衛生基準を「28度以下」と定めており、これにもとづいて全校に早期に整備するべきです。

 赤木かん子氏監修による図書館整備事業は、2019年度の経費を各学校が支出していたことや、PTAの会計から図書館整備の経費が支出されていたことなど、全体像が明らかにされないままです。不透明な支出を前提に当初予算が組まれているのであれば、その算出根拠も失われている状況であり、市教委からの説明が一切ないままに事業費を認めることは不可能です。

 また、「赤木氏しかいない」という理由のみで、通常は認められることのない年間約500万円の随意契約で業務委託されていますが、赤木氏の発案した改修や運営方法自体に多くの批判が集まっているのであり、委託相手先としての適切性がどの様に担保されているのかが客観的に証明されない限りは、契約の根拠が失われます。まずは謝礼や経費も公開し、詳細な調査と検証が必要です。

 

 当然のことながら,計上された予算の大部分は市民生活全般を支える有用なものであり,賛成できますが,さきに述べた諸点における政治的比重から反対を表明して討論といたします。

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