学校規模・配置「適正化」計画 第2要件の対象校を検討

学校環境の在り方 新たな方針策定

11月19日に行われた文教経済委員会において、福山市教育委員会は附属機関である「福山市学校教育環境検討委員会」に、今後の「望ましい学校教育環境の在り方」について諮問し、答申を踏まえた基本方針の策定に取り組む考えを明らかにしました。

2015年に策定した「福山市小中一貫教育と学校教育環境に関する基本方針」と「福山市学校規模・学校配置の適正化計画(第1要件)」に基づき、福山市は2019年以降、21小中学校を9校に統廃合する計画を強行してきました。

今後検討される基本方針では、適正化への取組方針である「第2要件」(小学校:全学年が1学級かつ1学級あたり15人以下・中学校:学級数3~5学級)の該当校の在り方が含まれます。

適正化第2要件 該当校は16校

今年5月時点で第2要件に該当する学校は小学校13校、中学校3校であり、基本方針の内容次第で再び大規模な学校統廃合計画が進められる可能性があります。

検討委員会は学識経験者、地域・PTA・学校の代表者、就学前児童の保護者や公募の市民20人以内で構成され、今年の12月から委員の公募を開始し、来年4月から審議を始める予定としています。

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適正化第2要件に該当する小中学校(2024年5月時点)

福山市議団ニュース2024.11.13

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不登校・教員の病休が急増 先生を増やして対応を

不登校過去最多 学びの場の充実を

23年度の不登校児童・生徒は1560人で過去最多、「福山市フリースクールかがやき」の利用者数も281人で最多です。

様々な理由によって在籍校に通えないケースが増える中、多様な学びの場と一人ひとりに応じた丁寧なケアの必要性が高まっており、対応する職員を増員することが求められます。

教員の精神疾患が増加 休める環境整備を

23年度中の教員の病休者63人のうち46人、23年度末時点での休職者13人のうち11人が精神疾患を理由にしていることが判りました。

市教委は休職者に対しては医師と連携して復職支援に取り組んでいますが、復職できたケースは5人であり、1か月以上の病休者に対して補充できた教員は24人で、体制のカバーが追いついていない状況です。

教員不足による多忙化で適切な休暇が取れず、さらに病休者が増えるという悪循環になりかねません。

子どもの問題への対応や、多忙化で休めない職場環境の改善のためには教員の増員が不可欠です。

みよし市議は、市教委として市費で職員を充実し、問題解決の取り組み強化を求めました。

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文部科学省資料:教育職員の精神疾患による病気休職者数の推移(平成25年度〜令和4年度)

浄水場の維持・更新を 水道施設の更新・耐震化計画の進捗

浄水場の耐震化率 44%にとどまる

東日本大震災や西日本豪雨災害では、広範囲・長期間の断水が発生しており、水道施設の災害対応が求められています。

福山市は22年から5カ年で水道施設の耐震化・更新を進めていますが、浄水場の耐震化率は、現在までに約44%であることが明らかになりました。

福田浄水場は廃止 千田浄水場へ集約化

主要浄水場である千田浄水場と出原浄水場の耐震化は完了していますが、中津原浄水場は老朽化が問題となっており、複数の未耐震施設が存在しています。

そのため、市は中津原浄水場の規模縮小とともに福田浄水場を廃止し、その分を千田浄水場の増設で機能を強化して補うという、浄水場の集約化を進める考えです。

しかし、福田浄水場は25年度で廃止するものの、千田浄水場の増設完了にはあと8年もかかる見込みです。また、山野・芋原浄水場にいたっては耐震化の計画もありません。

安心の浄水場は耐震化と分散化こそ

塩沢市議は決算委員会において、福山市には直下型地震の可能性がある活断層もあることから、山野・芋原の耐震化計画の早急な作成を求めました。

また、大規模な地震災害での広範におよぶ管路の破損被害も想定した上で、自己水源の確保のためには水源の分散が重要であることを指摘し、福田浄水場廃止の見直すよう強く求めました。

学校体育館にエアコン設置が実現!

8小中の体育館へ 安心の避難所に

福山市は災害時の基幹緊急避難場所に指定されている小中学校の体育館24所に、今後3年間で空調を整備していく方針を明らかにし、来年の6月までに8所で整備が進みます。

市議団はかねてから、避難所で健康被害が生じぬよう、市民とともに整備を求めており、大規模災害への備えとして重要な前進です。

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2019年には日本共産党福山市議団として緊急要望書を提出

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体育館へエアコンの設置を求める要望署名を教育委員会へ提出。(2020年11月27日)

放課後児童クラブの環境改善に活用を

市は整備の目的は災害対応だけでなく、様々な学校活動での活用も考えていると説明しており、すべての体育館への整備が必要です。

また、塩沢みつえ市議は予算委員会で、放課後児童クラブを利用している児童が、猛暑で外遊びができずに室内で過ごしている実態を指摘し、児童クラブでの活用の考えを質しました。

市は保護者の要望が無いことや支援員不足を理由として考えていないと答えましたが、クラブの環境整備は急務です。

利用者の要望に応えて体育館の利用を認めるよう強く求めました。

福山市議団ニュース2024.11.6

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訪問介護事業所が7件廃止 介護サービスの継続支援を

介護の休廃止63件 厳しい介護現場

23年度の介護保険事業所の休・廃止件数は全体で63件にも上っており、人手不足などによって事業が安定しない厳しい現場の状況が浮き彫りとなっています。

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重要な訪問介護、廃止増は深刻

特に訪問介護事業所は7件も廃止となっていたことが判りました。近年では休廃止件数が多い状況が続いており、深刻化しています。

訪問介護は、自宅で生活している高齢者に適切な介護サービスを提供している事業であり、地域福祉において欠かせない介護です。

しかし、移動時間が報酬に含まれないなどの制度上の矛盾点があり、ガソリン代の高騰などの影響により、全国での休廃止件数は5年間で8648件、県内でも216件と深刻です。

みよし剛史市議は、地域ごとに訪問介護サービスが不足していないか調査し、市として独自の事業継続支援を行うよう求めました。

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(広島県の取りまとめ資料から)

マイナンバーカ―ド普及に5年で総額20億円も!

福山市は2019年度からマイナンバーカードの取得支援を強力に取り組んできました。

市役所だけでなく、民間の事業所へも出張して手続きの支援を行ったり、福山市独自のマイナポイントの交付も行い、関連する事業にかかった費用は5年間で総額20億円も使われていたことが明らかになりました。
福山市の交付状況は23年度末時点で約77%、約35万人が持っていますが、1枚当たり6000円弱程度の費用をかけたことになります。
国の交付金も充てていますが、財源は全て税金です。

書かない窓口の利用はわずか2.8%

マイナンバーカードを市役所の書かない窓口システムで使うことで、窓口での待ち時間の削減などの効果が見込まれると市は説明しますが、利用率は16種類の手続きでわずか2.8%に止まっていることが判りました。
多額の費用を投じながら、ほとんど市民の利便性向上の効果はありません。
強引なデジタル化による効率化ではなく、市民本位のあたたかい窓口業務へと考え直すべきです。

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(福山市HPより)

2023年度決算委員会報告:福山市のため込み金は215億円

財政は大幅黒字 親身な納税相談を

2023年度の決算委員会が10月2日から10月25日にかけて行われました。
一般会計の歳入では、個人市民税や固定資産税の増収などにより、税収は約9億4000万円増え、収支は約48億円の黒字です。
税収は増えているものの、市民生活や地域経済は厳しい状況が続いています。
しかし、市は税の滞納整理のため、滞納者の財産調査を年間16万件以上行い、差し押さえが2500件行われていました。
機械的な滞納処分ではなく、暮らしの状況を把握し、丁寧な納税相談の取組こそ強化すべきです。

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暮らし優先の施策に 積極的な財政活用を

市は物価高やコロナ対策に、ため込み金である財政調整基金を活用しましたが、国からの臨時交付金が交付されたため、基金は約20億円も増加し、総額で215億円となりました。
市の借金である市債は、大型のゴミ処理施設建設工事などのために約268億円借り入れ、借金の総額はは約1541億円です。
大型公共事業に多額の税金が使われていますが、暮らしや営業への支援はまだ不十分であり、多額のため込みがあるのであれば、当面する市民生活の支援のため、積極的に活用すべきです。

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2023年度の福山市一般会計決算に対する反対討論

議第130号 令和5年度福山市一般会計歳入歳出決算認定について討論を行います。

 本会計歳入総額は2295億5051万2000円、歳出総額は2221億2935万6000円で、歳入歳出差引き額74億2115万6000円で翌年度繰り越すべき財源26億723万1000円を差し引いた実質収支は48億1392万5000円となりました。

 歳入における税収では、給与所得の増により個人市民税の増や、家屋の新増築等に伴う固定資産税の増などにより、全体では9億4059万6000円増となる一方、滞納者の財産調査を年間16万件以上行い、差し押さえが2500件行われています。機械的な滞納処分ではなく、市民との対話による納税相談の取組こそ強化すべきです。

 地方消費税交付金は114億6749万1000円交付されており、歳入総額の5.0%を占めています。交付された地方消費税の一部は社会保障関係費に充てられていますが、所得の低い人ほど負担が重い消費税に依存する財政の在り方は問題です。

 市債は清掃施設整備事業債の増などによって前年度比52億4290万円増の268億3640万円となり、当年度末の市債現在高は108億4507万6000円増加し、1541億8312万7000円、市民1人当たりの市債現在高は約2万6000円増の約33万8000円となりました。大型公共事業による市民の将来負担の増加と財政の硬直化が懸念されます。

 財政調整基金は3億円取り崩し、23億7727万5000円を積立てた結果、当年度末残高は215億9228万7000円となりました。本市の標準財政規模に対する財政調整基金の割合はすでに19.5%であり、さらに積み増せばあまりに過大な水準となります。市民の暮らしや営業を支える独自施策の財源として積極的に活用すべきです。

 総務費では、マイナンバーカードの普及促進に5年間で総額20億円以上費やし、交付率は76.9%となりましたが、書かない窓口システムの利用率は16業務でわずか2.8%です。利用者や行政への効果も限定的であり、費用対効果はほとんど見込めません。今後もマイナンバーカード関連のシステム構築や利用率向上に多額の税金が使われる可能性は否定できず、行政サービスの強引なデジタル化は見直すべきです。

 民生費では、豪雨によって床下浸水の被害に遭った住民に対する災害見舞金が支給されていません。土砂の流入を支給の要件としていますが、床下が浸水すれば土砂が流入することは当然であり、浸水が土砂流入の事実相当にあたることは疑うまでもなく、また制度改正時における議会答弁でも事実上の床下浸水への見舞金であることは認めています。全ての床下浸水被害に見舞金を支給すべきです。

 DV問題等に対応する女性相談支援員の欠員が出たことにより相談支援件数が大きく減少しています。専門性の高い相談業務であるにもかかわらず、わずか3名という脆弱な体制による過密な業務が支援に穴をあけてしまったことの根本問題であり、女性支援相談員の低賃金問題を放置していることは今後の事業継続にもリスクを負わせています。直ちに体制の充実と処遇の改善を行うべきです。

 衛生費では、市内河川2地点でPFOA/PFOSの含有量を測定していますが、市民の安全を守るためにも対象範囲を広げて測定すべきです。

 労働費では、奨学金を返済支援する企業への補助制度の利用が低調であり、支援制度の新規創設する企業のみを対象に止めるのではなく、県の制度と同様に採用3年目までの従業員に支払った手当を対象とするよう改めるべきです。

 農林水産業費では、地産地消を推進し、食料の安定供給と食料自給率の向上を図るためにも、学校給食への市内農産物の活用を抜本的に向上させ、市内農業者の大部分を占める小規模農業者、兼業農家への事業継続支援を行うべきです。

 土木費では、がけ地に近接する住宅の移転に係る補助金が約30年振りに1件適用となりましたが、さらに制度の有効活用に向けた周知を行うべきです。

 教育費では、フリースクールかがやきにおいて281人の児童生徒の受け入れとともに、年間約1500件の教育相談にも対応していますが、多面化する教育の諸問題に対応するためにも、専門相談員の配置充実や、他機関との連携強化に取り組むべきです。

 教員の精神疾患による病休・休職の増加が顕著であり、復帰支援や教員補充が追い付いていない状況となっています。適切な休暇取得と長時間労働の是正の取り組み強化と共に、早期の教員定数改善を国に強く求めるべきです。

 一方、当年度は、子ども医療費助成の拡充、出産・子育て応援金の支給、潜在保育士への就職支援金支給、高齢者へのごみ出し支援事業の実施、抜本的な浸水対策、水路転落事故防止対策、路面標示3カ年対策の実施、太陽光発電等の導入支援、福祉施設、農林水産事業者、交通事業者、中小企業・小規模事業者への物価高騰に対応する補助事業などに取り組んだことは評価できます。

 その他、当然のことながら市民の生活福祉向上に向けた諸施策が展開されておりますが、さきに述べた政治的比重から本決算認定に反対を表明し、日本共産党三好剛史の討論といたします。

市議団の紹介
塩沢みつえプロフィール みよし剛史プロフィール

仁比そうへい 活動日誌

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