2009/1/30 福山市が高齢者福祉制度の廃止・縮小案
福山市は、23日に開かれた民生福祉委員会で、これまで高齢者を対象として続けられてきた市独自の「あんま等施術費助成」「長寿祝金」「おでかけ乗車券(老人交通費助成)」の制度について廃止または縮小する方向を明らかにしました。これらは市が設置した「検討会」(注)からの諮問を受け、市として方向性を示したものです。
(注)検討会の構成 15人の内訳は、市老人クラブ連合会(2人)、市自治会連合会(1人)、市女性連絡協議会(1人)、市福祉を高める会連合会(1人)、市連合民生・児童委員協議会(1人)、市社会福祉協議会(1人)、福山商工会議所(1人)、連合広島福山地域協議会(1人)、市老人福祉施設連絡協議会(1人)、市民代表(5人)。
日本共産党の。土屋とものり議員は委員会質疑で「高齢者福祉削減案は撤回し、充実せよ」追及しました。
あんま等施術費助成制度
あんま等施術費助成制度は、市内の70歳以上の高齢者と68歳以上の生活保護受給者に対し、年6回、1枚につき1,000円までのあんまやマッサージ、はり、きゅう等の施術費の助成を行う制度で、07年度決算で3,985万円が支出され、市内で214か所の施術所が指定されています。市は、「廃止を基本として代替事業を検討」するとしています。
長寿祝金制度
長寿祝金制度は、市内の77歳、88歳、九十九歳、100歳以上の高齢者にそれぞれ1万円、2万円、3万円、5万を支給する制度で、07年度には5,468人に支給され、7728万円が支出されました。市は、77歳の高齢者への支給を廃止し、支給金額を一律2万円へと減額する方向で検討するとしています。
おでかけ乗車券制度
おでかけ乗車券制度は、市内の75歳以上の高齢者に1人年3,000円分のバス・タクシー券を支給する制度で、07年度には38,363人の高齢者に支給され、9203万円が支出されました。市は、この制度に所得制限を加え廃止・縮小する方向で検討するとしています。
福祉けずり案は撤回し充実せよ
日本共産党の土屋とものり市議は民生福祉委員会で、「現下の経済情勢、とりわけ高齢者の生活実態がいっそう厳しくなっているおり、市独自の高齢者助勢制度を削るというのはあまりに冷たい行政姿勢だ」と市の高齢者福祉制度の廃止・縮小案を厳しく批判し、「削減するべきでない」と追及しました。
土屋議員の民生福祉委員会質問要旨
土屋議員 「検討会」の設置、開催、議論の内容など、議会への報告はされていたのか。「検討会」の設立根拠はどこにあるのか。
市 議会には報告していない。規約にもとづき設置した。
土屋議員 なぜ議会に報告しなかったのか。
市 全体が集約されたなかで議会に報告することとした。
土屋議員 (委員会資料のなかに)長寿祝い金、老人交通費助成、あんま等施術費助成について、それぞれの「課題」(注)が設定されている。設定は誰がしたのか。
市 行政としての課題意識として設定した。
土屋議員 「高齢者のニーズ」というのなら、全世帯の高齢者にアンケート調査などを実施すべきだ。検討会の構成員は十五名だが、市内の七十五歳以上の高齢者人口は四万五千人以上だ。検討会が出した「方向性」には客観的根拠が定かでないばかりか、高齢者の声が広く反映されたものとは言えない。今回の「方向性」は福祉削りそのものだ。削減ではなく、拡充の方向で議論すべきだ。
市 削減とは考えていない。(意見聴取については)アンケートという手法もあるが、様々な代表をもって、議会の意見を聴き、方向を出していきたい。
土屋議員 高齢者にとって、削減以外の何ものでもない。アンケート調査を行い、高齢者のニーズを把握する意向調査をきちんと行うべきだ。
市 一つひとつを見ればそう(削減)とらえられるが、全体として検討会の意見をふまえたものになっている。
土屋議員 市独自の高齢者福祉削減は撤回し、意向調査を行うことを求める。検討会の議事録、規約の資料提出を求める。
(注)委員会資料委員会に市が提示した各制度に関する「課題」
あんま等施術助成 「助成券を使用しても自己負担が必要であるため、利用しない人もいる」「制度を知らない人が多く、無くても差し支えない」など。
長寿祝い金 「口座に振り込むだけの制度となっており、敬老の意が伝わるものになっていない」「現在では七十七歳は必ずしも長寿とは言えない」など。
老人交通費助成 「モータリゼーションの進展により、バス利用者は減少傾向にある」「タクシーでの利用を可能としたことにより、バスの利用者は更に減少している」など。