4月8日、憲法学者の渡辺治氏(一橋大学名誉教授)が「かつてない市民の共同で安倍政権にNOを!~9条改憲のねらいと危険性~」と題した講演を行いました。「STOP!『戦争への道』福山総がかり行動」が主催し、約100名が参加しました。

安倍首相はなぜ9条改憲に執念を燃やすのか?
安倍首相は、2020年の施行をめざし、「憲法9条に自衛隊の存在を書き込む」改憲に執念を燃やしています。
渡辺氏は、9条改憲の狙いを「ともに血を流せというアメリカの要請・圧力に応え、日本を軍事大国として復活させるため」と強調し、憲法9条とりわけ2項の意義を次のように説明しました。
「戦力を持たない」と定めた憲法9条のもと、歴代政府は自衛隊を「自衛のための必要最小限度の実力であり、戦力ではない」「集団的自衛権は行使できない」と解釈せざるをえず、自衛隊の海外派兵の足かせとなり軍事大国化の壁となってきました。
安倍首相は、この政府解釈を変更して足かせを突破しようと「戦争法(安保法制)」を強行採決しましたが、9条のもとで「戦争法」違憲の声は止まず、全面発動に歯止めがかかっています。
さらに、「戦争法」反対の運動のなかで市民と野党の共同が生まれ、戦後初の4野党の選挙協力が実現し、安倍改憲に立ちはだかりました。
安倍首相は、市民と野党の共闘を乗り越えるために、9条1項2項を残しながら自衛隊を明記するという裏技的な加憲案(源は公明党の案)を示したのです。
安倍9条改憲で自衛隊はどう変わる?
「9条加憲」の危険性について、渡辺氏は、「自衛隊を憲法に書き込むだけでちっとも変わらないと言うのは真っ赤なウソ。9条は根本的に変わる」と強調しました。
「自民党の改憲案『9条の2』は『前条の規定は~自衛の措置を妨げず~自衛隊を保持する』としており、1項2項が〝妨げ〟にならなくなる。さらに自衛の措置を妨げずと書くことにより、戦争法で海外での武力行使が認められた自衛隊を合憲化するだけでなく、アメリカなど他国の戦争に参加する集団的自衛権の全面行使に道をひらく」と説明しました。
また、「軍事組織として自衛隊が明記されれば、兵士として戦場に縛りつける軍法・軍法会議ができ、秘密保護法の稼働により、イラク『日報』隠しのような問題が明らかになることもなくなる」「『戦力ではない』という2項の縛りがなくなれば、人を殺さず災害復旧支援に尽力する自衛隊の姿は必ず変質する」と警鐘を鳴らしました。
憲法は死んでいない
3000万人署名で安倍改憲を阻もう
いま、国会の議席の3分の2を自民党・公明党が占め、改憲勢力は8割を超えます。安倍改憲を阻むには、「市民と野党の共闘」を一回り広く強くしなければなりません。
渡辺氏は「憲法は死んでいない。日本は、侵略せずされず72年をすごし、他の国ではできない、戦争をしない国であり続けた」と訴えました。「憲法を守り生かす正念場をともに闘おう」「かつてない市民の共同を広げ、安倍改憲に反対する3000万人署名に取り組もう。声なき声も掘り起こし、大きな市民の声を集めよう」と力強く呼びかけ、聴衆は大きな拍手で応えました。
福山市からも大きな市民の声を
福山市でも、党派の枠を超える幅広い共同の新しい試みが始まっています。
総がかり行動は、「全国3000万人統一署名」の福山市内の賛同人を発表。日本共産党や他党派の県議・市議を含め、幅広い市民109名が名を連ねました。街頭宣伝活動に加え、戸別訪問・配布などの取り組みも共同して始まっています。
日本共産党市議団も、引き続き、幅広いみなさんと力をあわせてがんばります。

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。