日本共産党福山市議団が追求
福山市の業務や公共事業を監査する「福山市包括外部監査報告書」は、福山市が業務遂行能力のない『株 ふくやまテレコム』に、水道料金の計算や電算業務を委託していたことを指摘しています。これをうけ、9月28日の企業会計決算特別委員会で、高木たけし、土屋とものり両議員が問題を追及しました。
第3セクターふくやまテレコム―社員一人、社屋なし
ふくやまテレコムは87年、当時の郵政省から、福山市が、テレトピア構想*1の指定地域に選定されたため、民間企業・商工会・福山市が出資・設立した第3セクターです。
設立当初は、地域情報推進事業に取り組んでいましたが、インターネットの普及などに伴い、先細りとなりました。
そのため、94年には8人だった社員を、非常勤社員一人だけを残し、事業を休止。現在までこの状態が続いています。
住所は商工会議所内で、社屋はありません。
実際の業務は他の業者が…
委員会質疑で明らかになりましたが、福山テレコムには非常勤の契約社員が一人しかおらず、契約額数千万円以上にも上る電算処理を行う能力はありません。
実際の業務は、福山テレコムが、「株 ビーシーシー」という情報システム会社に委託し、処理していました。
これは、市が業務を委託した会社が、別会社への委託を禁止する条項に、触れる可能性があります。「福山市契約規則(再委託の禁止)」
監査報告でも、この契約は、富山地方裁判所の「合理性が著しく欠如している」との判決事例を引き合いに出し、「問題がある」と指摘しています。
しかもこの契約は、2000年の包括外部監査報告でも指摘され、改善するよう促されていましたが、市はこれまで放置していました。
ふくやまテレコムへの業務委託は水道局だけではない
日本共産党が決算特別委員会で要求し、提出させた資料によると、水道局だけではなく、市民病院、加茂診療所の電算処理や会計業務なども、ふくやまテレコムが業務を行っている事が明らかになりました。
徹底的な真相究明を
ふくやまテレコムへ委託しなければならない明確な根拠は、決算特別委員会では全く答弁されませんでした。実体のない会社に業務を委託する事は、情報漏洩など、事故の危険性を強めます。
その上、福山市契約規則の、再委託を禁止する条項に触れるという懸念を、払拭できるだけの答弁も、委員会ではありませんでした。
福山市は、市民の大切な税金を使う以上、実態を明らかにし、説明責任を果たす必要があります。
日本共産党は、ふくやまテレコムへ支払われた委託料の流れと、契約を結ぶにいたった経緯、福山市が出資する第3セクターである、ふくやまテレコムの経営状況や、責任の所在など、徹底した真相究明を求めていきます。
*1テレトピア構想とは…ケーブルテレビ、データ通信等の情報通信メディアを活用して地域の情報化を推進し、地域社会の振興を図る事業。当時は、キャプテン事業(NTT文字図形サービス)を展開していましたが、普及しませんでした。
表1 ふくやまテレコムへの委託料の推移(決算委員会提出資料)過去2年分(単位:千円)
福山テレコムへ、年間6000万円以上の業務が随意契約で、締結されています。「随意契約理由」の欄には、「委託業者として適当」と記されていましたが、会社に業務遂行能力は全くありません。