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学校給食の無償化について(2022年12月議会一般質問)

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。


河村ひろ子市議:学校給食の無償化について質問します

急激な物価高騰が保護者の家計を圧迫している下で、給食費無償化の願いがかつてなく広がっています。本市の年間給食費は小学校約4万円、中学校約5万円と、義務教育にかかる費用の中でも重い負担です。給食費の保護者負担について市長の見解をお聞かせ下さい。また、子育て支援の推進と憲法26条が謳う義務教育無償化の理想を実現するために本市においてどのような取組が必要と考えているのでしょうか、お答え下さい。

本年6月の本会議で教育長は「無償化は、多くが人口規模1万人未満の自治体で定住促進策などとして取り組まれていると認識している」と答弁されました。しかし、人口46万人の東京都葛飾区では来年度から小中学校・特別支援学校の無償化を実施します。人口約27万人の青森市は本年10月から小中学校ともに無償化が始まり、人口30万人の明石市では中学校の給食無償化など、都市部においても取組みが進んでいます。我が党の自治体局の調査によると、小中学校とも無償化した自治体数は、2017年の76から256へと3倍以上になりました。各自治体の市長の英断によって、無償化が取り組まれていますが、市長はどのような感想をお持ちでしょうか、お答え下さい。また給食費無償化の意義についてどのように考えているのか、お答え下さい。

憲法が定める義務教育無償を国の責任で実現することは当然です。それと同時に自治体の役目も重要です。

給食費を補助することを学校給食法は否定しておらず、自治体の判断で実施できると文科省も認めています。美味しく栄養のある食事を、子ども達にお腹いっぱい食べてもらい、市民みんなで子育てをしていく、その具体的な方法が学校給食です。学校給食の無償化を一日でも早く実施するよう改めて求めます。ご所見をお示し下さい。

副市長答弁(教育長欠席のため)始めに、給食費の保護者負担に対する見解、本市の取組についてです。

本市では、前回の消費税率改定に際しても、給食費を据え置くなど、8年にわたり保護者の負担が増えないよう配慮しています。

長引く物価高騰の中、給食費の値上げをする自治体も見られますが、本市では負担を保護者に転嫁することなく対応しています。今後も、成長期にある児童生徒に、安心安全で、おいしい給食の安定的な提供に努めてまいります。

他自治体の無償化の取組は、子育て世帯への支援などとして、実施しているものと認識しています。

憲法が定める義務教育の無償化は、「授業料を徴収しないと解釈するのが相当である」との最高裁判例があり、給食費は、学校給食法において、「給食のための基本的な費用は、学校の設置者が負担し、食材費等の費用は、保護者が負担すること」となっていることから、無償化は考えていません。

以上

中小業者支援・国保の傷病手当金・インボイスについて(2022年12月議会一般質問)

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。


河村ひろ子市議:商工行政について

中小業者支援について伺います。

東京商工リサーチの調べでは、10月の全国の企業倒産件数は596件で、4月から7カ月連続で前年同月を上回っており、全て中小企業の倒産です。中小企業の約3割が過剰債務感を訴えています。コロナ対応融資の返済が始まっている中で、年末の資金繰りが逼迫すれば、さらに倒産が増加しかねません。

9月9日に金融庁と中小企業庁等との連名で、金融機関に対し条件変更などへの柔軟な対応や、貸し渋りを行わないなど、資金繰り相談・支援の徹底を要請していますが、関係者まかせで小規模事業者は事実上の対象外となっています。市として金融機関に対して小規模事業者も含めた支援を要請し、借り換えや条件変更、新規融資に対応する利子補給と信用保証料補助を行うことを求めます。ご所見をお示し下さい。

岸田政権が10月28日に閣議決定した総合経済対策には直接支援策は盛り込まれず、事業再構築補助金の活用を強調していますが、業態転換や事業再編を促すものでありコロナ危機で過剰債務を抱えた企業を支える制度ではありません。広島県の補正予算による事業者向け支援策においても、設備・研究開発投資や販路拡大に対する補助のみです。本市は物価高騰への対策について、国・県の施策の動向も踏まえ、市独自の支援を対応するとの方針を説明していましたが、この度の補正予算における支援策検討の経過についてご説明下さい。

11月11日の福山民主商工会による要望書提出において、同会が8月に取り組んだ市内事業者の営業動向調査の結果が報告されました。同調査では市内718事業者が回答し、その内の77%が売上の減少、43%が仕入れの物価が20%以上上昇したと答え、そのうち上昇分すべてを価格に上乗せできているのは7%しかいないという結果でした。参加者からは設備の補助金ではなく、固定費への補助や給付などの直接支援が強く求められています。事業者の生の声と調査結果についての受け止めをお答えください。市独自の直接支援を早急に実施するべきです。ご所見をお示し下さい。

市長答弁:次に、商工行政についてであります。

まず、中小企業融資について、本市から金融機関への資金の預託を行うことで利息の低減を図っています。

また、日本政策金融公庫の小規模事業者経営改善資金融資(マル経融資)及び新型コロナウイルス対策マル経融資に対して利子補給を実施しています。

さらに、信用保証料についても広島県信用保証協会の事務費の一部を負担することで、保証料率の軽減を図っています。

本市では、物価高騰対策として農水産業や交通事業者に対する燃油費補助や中小事業者に対する生産性向上につながるシステムや省エネルギー機器の導入支援など、市独自の支援を継続的に行っています。

現在も多くの事業者が、物価高騰などの影響を受けていると認識しています。

引き続き、国や県の支援情報をしっかりと事業者に届けるとともに、事業者ニーズを把握し、企業の成長や事業継続につながる支援策を機動的に実施してまいります。

以上

 

河村ひろ子市議:国保の傷病手当金支給について伺います。

小規模事業者の多くは国民健康保険に加入しています。コロナウイルス感染や感染疑いによって休業した際、傷病手当金の支給制度がありますが、対象は被雇用者に限られており事業主やフリーランスには何も支給されません。そのため、自治体が独自に事業主向けの傷病手当金や見舞金の支給制度を設けることが広がっています。

人口72万人以上の相模原市でも9000万円の補正予算で新型コロナウイルスに感染した個人事業主に1人当たり7万円の傷病見舞金を支給することを決定しました。

本市の2021年度末、国保基金残高約20億円を活用すれば、本市においても十分に実施は可能です。傷病手当金の対象を事業主にも拡大すること、もしくは独自の傷病見舞金の制度を創設することを求めます。ご所見をお示し下さい。

市長答弁:次に、国保加入者に対する傷病手当金の支給対象者の拡大については、全国市長会を通じ、国に対して要望しており、本市独自の制度の創設は考えていません。

以上

 

河村ひろ子市議:インボイス制度について伺います。

来年10月からのインボイス制度の導入は年間売上1000万円以下の小規模事業者・フリーランスへの実質的な消費税増税であり、各業界で大きな反対の声が上がっています。

クラウドソーシング会社「ランサーズ」が昨年11月に公表した実態調査によると、フリーランス人口は約1577万人で、コロナ禍でさらに個人での働き方を選ぶ人が増えていますが、2020年に内閣が公表した調査結果によると、フリーランスとしての所得が「1000万円以上」はわずか4%でほとんどが免税事業者と推測されます。

また、全体の7割が主に事業者や消費者から仕事を請け負っている者であり、今後インボイス発行のために課税業者になる事が迫られます。

本市における現時点でのインボイス登録事業者数についてお示し下さい。これまで市内経済への影響を調査するよう求めていますが、現在の調査状況をお示し下さい。

本年6月の一般質問では、市の入札に参加する事業者が免税事業者かどうか把握していないとのことでしたが、特別会計や公営企業会計には消費税の申告義務があるため対応が必要です。昨年度の特別・公営企業会計における免税事業者との取引件数についてお答えください。インボイスが発行できないという理由で免税事業者が市の取引から除外されることがあってはならないと考えますが、市としての考えと対応についてお示し下さい。

政府は小規模事業者の消費税納付について3年間の猶予措置を検討していますが、負担を考慮した対応であればインボイスは中止すべきであり、市として国に求めるべきです。ご所見をお示し下さい。

市長答弁:次に、インボイス制度についてであります。

福山税務署管内の本年11月15日時点の登録事業者数は、5935件と聞いています。

市内経済に与える影響については、事業者が置かれている状況や制度導入後の各事業者の対応が様々であるため、市として、その影響を把握することは困難であります。

また、昨年度の特別・公営企業会計における免税事業者との取引件数は、消費税の課税事業者か、免税事業者かについてを業者登録の要件としていないため、把握していません。

また、単に免税事業者であることのみをもって市との取引から除外することは考えていません。

なお、インボイス制度は、複数税率の下で、適正な課税の実現を図るものと認識しており、国に中止を求める考えはありません。

介護保険の制度改定について(2022年12月議会一般質問)

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。


河村ひろ子市議:介護保険の制度改定について質問します

厚生労働省の審議会は再来年度の介護保険の制度改定に向け議論を本格化させています。その内容は、①要介護1・2の人を「軽度者」として保険給付から外し、市町村が運営する総合事業へ移行させる ②サービス利用料2割・3割負担の対象者の拡大 ③現在40歳から納めている介護保険料の納付年齢の引き下げと、原則65歳からのサービス利用開始年齢の引上げ ④ケアマネジャーが作成するケアプランの有料化、⑤老人保健施設など多床室の有料化 ⑥福祉用具貸与制度を購入へ転換などです。いずれも国民に耐えがたい負担増と給付削減を押しつける中身です。これが実施されれば、サービス中断や利用控えが起き、高齢者の重度化、家族の介護離職や介護心中など深刻な問題をもたらしかねません。高齢者や家族、介護事業所へどのような影響を及ぼすと考えられるか、市長の認識をお示し下さい。

国は要介護1・2の人を介護給付から外し、自治体が行う日常生活支援総合事業へ移行するとしていますが、要介護1・2の人が、介護が必要になった原因のトップは認知症で、2~3割を占めます。認知症の人や家族には専門的なケアが欠かせません。ところが、自治体が行う総合事業は、全国一律の運営基準で有資格者がサービスを提供する保険給付とは異なり、無資格の住民やボランティアを担い手としたり、低い報酬を設定したり市町村が施設基準や報酬を独自に決めることが可能です。これでは専門的なケアは受けられません。

政府は認知症施策推進大綱で「早期発見・早期対応、発症後の進行を遅らせる取組みの推進」を掲げていますが、今回の改悪内容はこの理念にも反し、認知症高齢者の状態悪化を招きかねませんが、市長の見解をお聞かせ下さい。

10月21日、全国老人福祉施設協議会や全国老人保健施設協会、日本ホームペルパー協会など8団体が、国に対し総合事業への移行に反対する要望書を提出しました。11月24日には「認知症の人と家族の会」が、改悪反対の8万筆の署名を提出するなど、介護業界あげて猛反対しています。

高齢者は6月から年金が切り下げられ、10月から75歳以上の医療窓口負担が2倍になるなど、これまでになく生活の苦しさが増しています。制度改悪は絶対に行うべきではありません。国に対し、負担増や給付削減の改定を行わない事を強く要望する事を求めます。ご所見をお示し下さい。

市長答弁:次に、介護保険の制度改定についてであります。

介護保険制度は、給付と負担のバランスを図りつつ、制度の持続可能性を高めていくことが重要であると考えます。

なお、制度改正については、利用者の自立支援等の観点や自治体をはじめ関係者の意見を踏まえた持続可能な介護保険制度となるよう、全国市長会を通じ、国に要望しています。

子ども医療費助成制度について(2022年12月議会一般質問)

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。


河村ひろ子市議子ども医療費助成制度について質問します。

厚生労働省の調査によると、2009年当時、二つの自治体だけだった「18歳まで」の通院時の助成は21年4月現在、全国の市区町村の約半数817自治体まで広がりました。

「中学卒業」まで合せると、通院は94.7%、入院は97.8%、医療費無料は、通院・入院ともに約7割、所得制限なしは約9割にのぼります。

尾道市は本年10月に対象年齢を18歳まで引上げ、市民から大変喜ばれているとの事です。連携中枢都市6市2町の中で入通院ともに中学生までに留まっているのは、福山市・三原市・府中市の3市のみとなりましたが、この現状の受け止めについてお答え下さい。

お金の心配をせず安心して医療にかかれることは、子どもの命や健康を守ることに繋がります。子ども医療費助成制度は重要な役目を果たしており、本来、国の制度で行うべきです。全国知事会や全国市長会は、全国一律の子どもの医療費助成制度の創設を国に再三要望していますが、未だ実施されていません。

地方自治体は継続して国に要望しつつも、住民福祉の増進の立場で子育て支援の充実に取り組まなくてはなりません。しかし、広島県の子ども医療費助成の対象年齢は就学前までで18年間も変わっていません。県制度が拡充されれば、対象年齢の引上げ・所得制限や一部負担金の廃止などが可能になると考えます。広島県に対して制度の拡充を再度要望することを求めます。ご所見をお示し下さい。

11月24日、「福山市の子どもの健やかな育ちを願う保護者の会」が、18歳までの医療費の無料化と所得制限をなくすことを求める要望署名1236筆を添えて、市長に提出しましたが、署名の受け止めをお答え下さい。

ある保護者は「17歳になった我が子は原因不明の発熱のため1回の検査に2万円もかかった。不登校もありカウンセリングも受けていて治療は欠かせないからこそ、医療費負担を軽くして欲しい」と、訴えられました。

高校生にもなれば、風邪などの軽微な疾患だけでなく歯科・眼科・アレルギー・精神科など慢性疾患や継続的な治療を要するケースもあります。安心して治療を受けられる環境整備に医療費助成は重要な役目を果たしていると考えますが、当制度の意義についてご所見をお示し下さい。

18歳までの医療費無料化を求めます。ご所見をお示し下さい。

市長答弁:次に、子ども医療費助成制度についてであります。

本制度は、病気が重症化しやすい子どもに対し、疾病の早期発見と早期治療を促進し健やかな育成を図ることを目的として実施するものであります。

子どもの医療費助成は、本来、国が責任を持って制度を構築すべきものと考えています。

引き続き全国一律の制度として創設するよう国に要望してまいります。

18歳まで無償化することについては考えておりません。

以上

補聴器購入費助成について(2022年12月議会一般質問)

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。


河村ひろ子市議:補聴器購入費助成について質問します

 加齢性難聴は50歳頃から始まり、60歳代後半では3人に1人、75歳以上になると7割以上が発症すると言われています。国立長寿医療研究センターによると、日常生活に支障をきたす難聴者の割合は、70歳代以上では男性5人に1人、女性10人に1人との事です。本市の人口に当てはめると、男性約9000人、女性約6000人で、男女合せると人口比3.2%にもなりますが、この数字の受け止めについてお答え下さい。

昨年6月本会議で市長は「加齢性難聴は認知症の危険因子の一つであり、その予防に取り組むことは重要」との認識を示されましたが、補聴器を装用する重要性をどのように考えているのかお答え下さい。

国の補聴器購入助成対象は、両耳の平均聴力が70㏈以上の聴覚障害者のみで助成対象が狭く、また補聴器は高額なため簡単に購入できません。そのため日本の補聴器の普及率はわずか13.5%で欧米諸国30~40%に比べ非常に低い水準です。補聴器にアクセスしにくい現状を一刻も早く解消するべきと考えますが、市長のご所見をお示し下さい。

11月25日、「補聴器の公的助成を求める会」が「難聴者の補聴器購入に公的助成を求める要望署名」1195筆を添えて市長に提出しました。年齢制限や所得制限を設けず、両耳の聴力が30㏈以上の身体障害者手帳の交付対象とならない人への購入助成を求めています。

参加者からは「40歳代に聴力が落ちたが仕事をするため片耳25万円もする補聴器を購入せざるをえなかった」「補聴器は体の一部」「話しが聞き取りにくいため職場や地域で差別的な事を言われ、それが一番辛かった」と訴えられました。

難聴になると、仕事が困難になったり、差別的な扱いを受けたり、交通事故や転倒のリスクが高まるなど、単に「聞こえ」の問題だけでなく、生活のあらゆる面に影響するとの事です。参加者の訴えを市長はどのように受け止められたでしょうか、お答え下さい。

 

全日本年金者組合大阪本部の調査によると、自治体による補聴器購入助成制度の実施は、本年10月末時点で114市区町村となり、前年から約3倍と急速に広がっていることが分かりました。

東京都港区では4月から、上限13万7000円、住民税課税の人にはその2分1の6万8500円を助成し、予想以上の申し込みで補正予算を組みながら対応しているとの事です。東京都江東区では耳かけ型と箱形から選べる現物支給を購入助成と合せて行っています。新潟県上越市、福岡県田川市では全年齢を助成対象としています。このように自治体の取組みが全国で展開されていますが、市長の感想をお聞かせ下さい。

本市は、国の補装具費支給制度の拡充を政府に要望する取組みに留まっていますが、聴力に障がいのある人のみに補聴器購入の負担を強いるのではなく、聞こえる人、聞こえない人同士がコミュニケーションとりやすい環境にするために社会全体が支える仕組として公的助成を行う社会的意義があるのではないでしょうか。

本市独自の購入助成制度の創設を求めます。ご所見をお示し下さい。

市長答弁:次に、補聴器購入費助成についてであります。

今後、高齢者人口の増加に伴い、難聴で悩む方も増えていくものと予想されます。

補聴器は生活の質の維持だけでなく、認知症予防にも効果があるといわれています。このため、現段階では、身体障がい者手帳交付者や手帳交付者以外の18歳未満の軽度・中等度の難聴児に対して助成が行われています。

更に、補聴器購入の補助制度拡充について現在、国に要望しています。

なお、市独自の新たな制度の創設は考えておりません。

以上

健康保険証の廃止とマイナンバーカードについて(2022年12月議会一般質問)

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。


河村ひろ子市議:健康保険証の廃止とマイナンバーカードについて質問します

岸田政権は、現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化するとしています。カード取得を実質的に強制する極めて強権的な方針です。任意取得の原則を定めるマイナンバー法に違反し、憲法が保障する自己決定権にも反しますが、市長の認識をお示しください。政府に対し、健康保険証廃止の撤回を強く求めることを要望します。ご所見をお示しください。

岸田政権は医療機関等に来年4月からのオンライン資格確認を原則義務化しました。全国保険医団体連合会が10・11月に実施した調査によると、医療機関8681件のうちシステムの運用開始済み24%、準備中55%、導入しない・できない15%です。導入コストが補助金額を上回ったのが54%、運用開始後のトラブル発生が41%と負担が重い一方、導入準備の理由の9割は「必要性ないが義務化されたから」が実態です。導入しない理由は費用面や「情報漏洩、セキュリティ対策が不安」「対応できるスタッフがいない」が半数以上で、愛知保険医協会の調査では「義務化されると廃業せざるを得ない」が12.4%です。地域医療に深刻な影響を及ぼす恐れがありますが、市長の認識と本市の医療機関の導入状況をお答えください。

義務化の撤回、少なくとも実施時期の延長や義務化の免除対象の拡大など抜本的な見直しを政府に求めることを要望します。ご所見をお示しください。

 

マイナンバーカードを保険証として利用するには、医療機関受付で顔認証システムを利用するため、全国民の精細な顔画像が収集されることになります。日本弁護士連合会は、プライバシー権の侵害や国家による市民の監視に使われる危険を指摘しています。

また、政府が運営するオンラインサービスのマイナポータルに登録が必要ですが、マイナポータルにアクセスすれば個人情報の閲覧が可能となり、DVや虐待の被害者は不開示措置の届出を行わなければ加害者に自身の情報を閲覧される可能性があるなど、生命にかかわる情報漏洩の危険も指摘されています。本市は、商業施設に申請会場を設置するなど、カード取得を促進していますが、情報漏洩の危険性を市民に周知しているのか、お答えください。

ポイント付与や人件費、申請会場の設置費用など、マイナンバーカードの申請受付と促進にかかる費用の総額をお示しください。

カードの取得が進まない理由には、個人情報漏洩の心配や政府に対する不信があります。取得したくないという権利は保障されるべきです。福山市は国のポイント給付に上乗せしてカード取得を促進していますが、名目は物価高騰対策であるにもかかわらず、取得しない市民は何も得られません。利益誘導による普及策は任意取得の原則に反するものであり、抜本的な見直しを求めます。ご所見をお示しください。行政サービスが公正・平等に提供されず、不合理な経済的不利益を受ける市民が生じることについて、市長の認識をお示しください。

市長答弁:次に、健康保険証の廃止とマイナンバーカードについてであります。

マイナンバーカードは、これまでと同様、申請に基づき交付するということに変わりありません。

また、国において、カードを持たない人も安心して医療が受けられる手続についても検討されており、保険証の廃止の撤回を求めることは考えていません。

次に、オンライン資格確認の導入の義務化についてであります。

2022年(令和4年)6月から、国が、2022年(令和4年)導入費用の補助金上限額を引き上げたこと、導入により、診療報酬請求手続の軽減など事務コストの削減が図られること、患者の医療情報等を踏まえた診療等により、より良い医療の提供ができることなど、導入のメリットは大きいと考えています。

国に撤回を求めることは考えていません。

なお、本市における導入医療機関の数は、2022年(令和4年)11月20日現在で289施設となっています。

次に、マイナンバーカードのセキュリティについてです。

マイナンバーカードはセキュリティ機能評価の国際標準を認証取得した安全性の高いものです。

広報ふくやま、ホームページ、SNSなどへの掲載に加え、カード申請時などにおいて、その安全性について周知しています。

カードの普及促進にかかる全体の予算額は、今年度実施しているカードの申請会場の設置や出張申請サポート、市民、一人あたり5000ポイントを付与する一人あたり5000ポイ自治体マイナポイントなどを含め、約27億円です。

マイナンバーカードは、デジタル社会の基盤となるインフラであり、誰もが等しく行政サービスを受けるために必要となるものです。

自治体マイナポイント事業は、カードを多くの市民に取得していただくため実施しているものであり、事業を見直す考えはありません。

福山市の個人情報保護制度について(2022年12月議会一般質問)

12月議会一般質問の第一質問と答弁を掲載します。


河村ひろ子市議:個人情報保護条例の廃止による影響について伺います。

本市は、2023年4月施行の個人情報保護法改定に伴い、施行条例を制定し、現行の個人情報保護条例を廃止する方針です。

現在、本市ホームページの「個人情報保護制度の概要」には、制度の目的を「個人情報に関する市民の権利を保障するとともに,個人情報の適正な取扱いを定め,市民の基本的人権を擁護すること」と明記し、「市が個人情報を扱うときの原則」などが掲載されています。条例の廃止によって、これらの目的や原則の表記が変更されるのか、お答えください。

また、市長は昨年度の議会で「本市は個人情報保護条例にもとづき、情報セキュリティポリシーを定め、外部ネットワークとの接続が必要な場合は個人情報保護審議会へ諮り、厳格な個人情報保護対策を講じている」「個人情報を扱うシステムはインターネットから遮断する」との答弁をされています。条例の廃止によって情報セキュリティポリシーや個人情報保護対策に後退があってはなりませんが、見解をお答えください。

個人情報の保護に関する法律施行条例について伺います。

法改定の目的は「個人情報保護とデータ流通の両立」とされますが、利活用を優先して保護を後退させるものとなっています。

地方自治体が保有する個人情報の管理は法定自治事務であり、自治体には法律を自主的に解釈して運用する権利があり、国には地域の特性に応じて実施できるように特別に配慮する義務が課せられています。保護法第5条も「区域の特性に応じて、個人情報の適正な取り扱いを確保するために必要な施策を策定し、実施する」と地方自治体の責務を定めています。国の法律を単に施行するのではなく、地方自治の本旨にもとづき、憲法が定める自己情報コントロール権、基本的人権を擁護するために、これまでの保護規定を後退させず、維持・発展させるよう条例を制定するべきです。

東京都世田谷区は、施行条例とせず、個人情報保護条例の名称を維持しており、条例素案の「目的」には「区民の基本的人権の擁護と信頼される区政の実現を図る」と明記されています。

本市も、施行条例ではなく個人情報保護条例とし、「個人の尊厳に係る基本的人権を擁護する」という現行の目的規定を新たな条例にも明記することを求めますが、ご所見をお示しください。

本市は施行条例で法の規定による事項を定める方針ですが、それだけでは不十分です。条例要配慮個人情報に「性的指向及び性自認」を定めることは評価できますが、保護法は要配慮個人情報の収集や記録の禁止を規定していません。また、個人情報の本人からの直接収集の原則はなく、目的外利用や外部提供についても「相当の理由」や「特別の理由」があれば可能としており、現行の個人情報保護条例の規制より後退します。条例として長年運用してきた保護措置は「地域の特性」に該当すると考えられるため、新たな条例でも規定し、住民の権利利益の侵害を防ぐことを求めます。ご所見をお示しください。

本市は、条例の市議会議決後、来年1月に広報に掲載して市民に周知するとしています。情報の主体であり主権者である市民の意見を反映せずに条例を制定するべきではありません。条例案のパブリックコメントの募集を求めます。ご所見をお示しください。

死者の個人情報について、保護法では個人情報は「生存する個人に関する情報」と定義されました。死者に関する情報の取り扱いについて、「個人情報保護制度とは別の制度として条例で定めることは妨げられない」とされており、死者の尊厳、名誉、人格権を守る目的で独自の条例を制定するべきですが、ご所見をお示しください。

情報の利活用について、経団連が新成長戦略で「死活的に重要なのがデータの活用」としたように、個人情報が利益を生み出す資源とされています。AI(人工知能)によるプロファイリングも可能なデジタル社会だからこそ自己情報コントロール権の確立が重要です。

本市は子育て支援アプリを導入しており、母子健康手帳や子どもの写真、成長、育児などの記録が集積されます。企業の利用規約には、取得した情報を事業目的に利用する場合がある、投稿したコンテンツの利用権を第三者含め企業に許諾する、サービスに法律上の瑕疵がないことを保証せず、損害賠償の責は負わないという趣旨の記述もあります。サービスを利用すると、これらの規約に取消不能な同意をしたものとみなされます。

市として個人情報の取り扱いや注意事項の説明はありませんが、市が連携するアプリだからと、信頼して利用する可能性もあります。

行政として市民の権利利益の侵害が起こらないよう責任を持ち、プロファイリングや営利目的での利活用を規制する契約条件とするべきです。また、利用規約の分かりやすい説明と同意のプロセス、同意の取り消しの権利を保障し、運営状況について市民の立場に立った監視体制をつくることを求めますが、ご所見をお示しください。

市長答弁:河村議員の御質問にお答えいたします。

始めに、個人情報保護制度についてであります。

個人情報を適切に管理するため、個人情報保護審議会に諮問した上で、目的外の利用や外部への提供の制限に関する規程等を策定することとしており、法律の施行により本市の個人情報保護制度が後退するものではありません。

なお、本条例は個人情報保護審議会に諮問しており、パブリックコメントを実施する考えはありません。

次に、死者の個人情報については、不開示情報に当たるという見解が国から示されています。

次に、情報の利活用についてであります。

民間事業者においても、法律に基づき個人の権利利益の保護が求められています。

以上

2022年12月議会 一般質問の日時と項目

日本共産党の一般質問は12月9日(金)です。

ぜひ傍聴にお越しください。

河村ひろ子市議 午前10時から

1 福山市の個人情報保護制度について

①個人情報保護条例の廃止による影響について

②個人情報の保護に関する法律施行条例について

③死者の個人情報について

④情報の利活用について

2 健康保険証の廃止とマイナンバーカードについて

3 民生福祉行政について

①補聴器購入費助成について

②子ども医療費助成制度について

4 介護保険の制度改定について

5 商工行政について

①中小業者支援について

②国保の傷病手当金支給について

③インボイス制度について

6 学校給食の無償化について

7 性と生殖に関する女性の権利について

8 包括的性教育について

みよし剛史市議 午後1時から

1 保育行政について

①待機児童について

②保育士確保策について

③未就園児について

2 幹線道路網整備について

①放射・環状型幹線道路網形成について

②福山西環状線について

③トンネル施工区間の用地補償について

3 地域公共交通計画について

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市議団ニュース2022.11.30

news2022.11.30.pdfをダウンロード

News20221130

補聴器購入に公的助成を!署名が提出されました

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 「補聴器の公的助成を求める会」は25日、国の補助制度の対象とならない軽・中度の難聴者への補聴器購入助成を求め、1195筆の署名を提出しました。

 当事者や支援者8人が市役所を訪れ、障害福祉課長ら職員5人と懇談しました。

40代で難聴になった女性は「補聴器がないと仕事が続けられないし、差別も受けた。取り残されたような感じで人に会うのが嫌になる。補聴器は体の一部だが、両耳で50万円、買い替えも必要で車1台分はかかった。払えず困っている人は多いと思う」と市独自の助成を求めました。

 涙ながらに話す参加者もおり、障害福祉課長は「思いを聞かせていただき、苦労も把握した。他市の状況を調査しながら考えていきたい」と答えました。

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河村ひろ子市議が同席しました。

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